実家から東京の大学に進学して一人暮らしを始める。そのときにかかる費用は「部屋の初期費用」「引越し代」「家電・家具の購入費」の3つに分かれます。このうち「引越し代」は荷物量と移動距離と時期で2倍以上変わるので、一番見積もりがぶれやすい。
段ボール20箱と小型冷蔵庫くらいの荷物なら単身パックで3万〜4万円。3月末の最繁忙期に大型家電込みでフル引越しすると12万〜20万円。この差額で1ヶ月分の生活費がまるまる浮くので、「どの方法で運ぶか」の判断は初期費用全体に直結します。
この記事でわかること
- 引越し総費用の3つの構成要素と、それぞれの金額感
- 単身パック(日通・ヤマト)の料金帯と使い方
- 繁忙期と閑散期の料金差、3月末を避けるだけで何万円変わるか
- レンタカー自力引越しのリアルなコスト計算
- 「親と一緒にやる」「友達に手伝ってもらう」パターンの比較
引越し総費用の全体像
一人暮らしを始めるまでにかかる費用は、3つの塊に分かれます。
| カテゴリ | 家賃6万円の場合 | 家賃5万円の場合 |
|---|---|---|
| 部屋の初期費用 | 24万〜40万円 | 20万〜35万円 |
| 引越し代 | 3万〜15万円 | 3万〜15万円 |
| 家具・家電 | 5万〜25万円 | 5万〜25万円 |
| 総額 | 32万〜80万円 | 28万〜75万円 |
引越し代は「距離と時期」に比例し、家具・家電は「新品で揃えるか中古にするか」で大きく変わります。一方、部屋の初期費用はエリアと家賃でほぼ決まる。「何をどの順番で節約するか」の優先度をつけるには、まずこの3つの構造を頭に入れておく必要があります。
引越し業者を使う場合 — 単身パックという選択肢
大学生の引越しで最初に検討すべきなのが単身パック。「荷物が専用ボックスに収まるなら使える」パッケージプランで、正規の引越しプランより安く済むことが多い。
日通「単身パックL」
日通の単身パックSサイズは2023年5月31日で販売終了済み。現行はLサイズ(横108cm×奥行104cm×高さ175cm)のみで、段ボール20箱+小型冷蔵庫+電子レンジくらいが入り、関東圏内で税込30,800円から。
東京から名古屋方面で35,200円前後、大阪方面で38,500円前後が目安になります(2026年4月時点の概算料金)。
段ボール20箱と小型家電3点(電子レンジ・炊飯器・ケトル)を運ぶだけなら、Lサイズ1台でおおむね収まります。一人暮らしを始めたばかりで大型家具を持っていない学生にはちょうどいいサイズ感です。
アートセッティングデリバリー「わたしの引越」
旧ヤマトホームコンビニエンスの単身向けサービス「わたしの引越」は、2025年1月1日付の社名変更でアートセッティングデリバリーが提供しています。専用ボックス(幅100cm×奥行100cm×高さ170cm)を使い、関東圏内で税込23,100円から。日通Lより一回り小さめで、段ボール15-20箱+衣装ケース1〜2個くらいの想定です。
関東〜関西だと44,000円前後。繁忙期加算があるため、3月25日〜4月5日は通常期の1.5倍ほどの料金になります。
単身パックに入らないもの
ベッド(シングルでも長さ200cm前後)、自転車、本棚(高さ180cm以上のもの)は単身パックに入りません。これらを運ぶ場合は通常の引越しプランか、別途「大型家具のみ配送」を手配する必要があります。
逆に言えば、ベッドと本棚は現地で買う前提にして、実家から持っていく荷物を段ボール+小型家電に絞れば、単身パック1台で済む。引越し費用を3万〜4万円に抑える最も確実な方法です。
繁忙期と閑散期 — 3月末を避けるだけで数万円違う
引越し業界の繁忙期は3月中旬〜4月上旬。このうち最も料金が高くなるのは3月25日〜4月5日の約10日間です。
通常の引越しプラン(業者がトラック+スタッフを手配するフルサービス)で、同じ「関東圏内・荷物少なめ」の条件を比べると:
| 時期 | 料金帯 |
|---|---|
| 閑散期(5月〜1月) | 3万〜5万円 |
| 通常期(2月〜3月中旬) | 4万〜7万円 |
| 繁忙期(3月中旬〜4月上旬) | 6万〜10万円 |
| 最繁忙期(3月25日〜4月5日) | 8万〜15万円 |
閑散期と最繁忙期で3倍の差がつくこともある。大学の入学式は多くの場合4月上旬ですが、引越し日を4月8日〜10日にずらすだけで「最繁忙期」を外せます。
入学式に間に合わせたい場合は、3月上旬〜中旬に引越しを済ませるのも手。まだ授業は始まっていないので、荷物を運び入れて部屋をセットアップする余裕があります。この時期ならまだ料金も繁忙期ピークにはなっていません。
遠方からの引越しだと差額がさらに大きい。例えば福岡から東京への単身引越しは、閑散期で6万〜8万円、最繁忙期で12万〜20万円。差額は6万〜12万円にもなります。
レンタカーで自力引越し — 本当に安くなるか
「軽トラを借りて自分で運べば安い」——確かに引越し業者を使うより安くなるケースはありますが、思ったほどの差にならないことも多い。実際のコストを計算してみます。
関東圏内(例: 埼玉の実家 → 高田馬場)の場合
| 費目 | 金額 |
|---|---|
| レンタカー代(軽トラ12時間) | 7,000〜9,000円 |
| ガソリン代(往復80km) | 約1,000円 |
| 高速代(関越道・所沢〜練馬) | 往復1,200円 |
| 駐車場代(高田馬場近辺のコインパーキング) | 1,500〜3,000円 |
| 養生材・ロープ・台車レンタル | 2,000〜3,000円 |
| 合計 | 約12,000〜17,000円 |
引越し業者の閑散期料金(3万〜5万円)と比べると1.5万〜3.5万円の節約。ただしこの計算には「自分と手伝ってくれる人の人件費」が入っていません。段ボール20箱を2階の部屋に運び上げる作業は、2人がかりで2〜3時間。部屋への搬入だけでなく、荷造り・積み込み・荷解きまで含めると丸1日仕事になります。
遠方(例: 大阪の実家 → 御茶ノ水)の場合
| 費目 | 金額 |
|---|---|
| レンタカー代(軽バン24時間 + 乗り捨て料金) | 15,000〜25,000円 |
| ガソリン代(片道500km) | 約4,500円 |
| 高速代(名神+東名 片道) | 約12,000円 |
| 駐車場代 | 2,000〜3,000円 |
| 合計 | 約33,000〜44,000円 |
日通の単身パックLサイズ(大阪→東京で33,000円前後)とほぼ同額。長距離の場合は「自力で運んでも業者に頼んでも費用はあまり変わらない」のが実態です。高速道路の運転が6時間以上になる上、疲労した状態で荷物を搬入するリスクを考えると、長距離では業者を使った方が合理的です。
自力引越しが有効なケース
関東圏内で荷物が少なく(段ボール15箱以下)、親が車を持っていて手伝ってくれる場合。レンタカー代も不要、荷物も少ないなら搬入の負荷も小さい。このケースでは引越し費用をガソリン代+高速代の3,000〜5,000円程度に抑えられます。
「親と一緒にやる」パターンと「友達に手伝ってもらう」パターン
親と一緒にやるパターン
親のワンボックスカー(ノアやヴォクシー、セレナなど)に荷物を積んで、親子で引越し当日に東京まで来る。大学入学の引越しで最も多いパターンです。
荷物が段ボール15箱+布団+衣装ケース3個くらいまでなら、ワンボックスカーの後部座席を倒せば1台で積めます。実家が関東圏内なら、朝出発→昼前に到着→午後に搬入・簡単なセットアップ→夕方に親が帰る、という流れで1日で完了。
メリットは費用がほぼゼロ(ガソリン代+高速代のみ)で、荷物の搬入を手伝ってもらえること。デメリットは大型家電(冷蔵庫・洗濯機)は積めないため、現地で購入する前提になること。
家電量販店(ヨドバシカメラ新宿西口本店、ビックカメラ池袋本店など)で冷蔵庫と洗濯機を購入し、配送日を引越し翌日〜翌々日に指定するのが定番の流れです。多摩センター方面ならヨドバシカメラマルチメディア町田、またはノジマ イトーヨーカドー多摩センター店が選択肢に入ります。
友達に手伝ってもらうパターン
「東京の大学に進学する友達同士で、順番に手伝う」パターン。同じ大学に進学する友人が複数いれば、1台のレンタカーを借りて交代で荷物を運ぶことで、レンタカー代を割り勘にできます。
高田馬場なら早稲田に進学する友人同士で、多摩センターなら中央大に進学する仲間で——入学前に連絡を取り合っておくと実現しやすい。SNSの合格者グループ(X/TwitterやLINEのオープンチャット)で「引越し日が近い人」を見つける学生もいます。
注意点は、友達の荷物を破損した場合の責任。段ボールの底が抜けて中身が壊れた、壁にぶつけて凹みをつけた——こういうトラブルがあると関係に響くので、貴重品や壊れやすいものは自分で運ぶのが無難です。
家具・家電の費用 — 新品 vs 中古 vs 実家から持参
引越し代だけでなく、「何を買い揃えるか」も総費用に大きく影響します。
必須家電と費用帯
| アイテム | 新品 | 中古・型落ち | 備考 |
|---|---|---|---|
| 冷蔵庫(1ドア〜2ドア) | 2.5万〜5万円 | 1万〜2.5万円 | 自炊するなら2ドア(冷凍室付き) |
| 洗濯機(5〜6kg) | 3万〜5万円 | 1万〜3万円 | コインランドリーで代替する手もある |
| 電子レンジ | 8,000〜2万円 | 3,000〜8,000円 | ターンテーブル式なら安い |
| 炊飯器(3合) | 5,000〜1.5万円 | 2,000〜5,000円 | 自炊しないなら後回し |
| 照明(LEDシーリング) | 3,000〜8,000円 | — | 部屋に付属していないことが多い |
| カーテン | 2,000〜8,000円 | — | サイズを測ってから買う |
新品で一式揃えると10万〜18万円。型落ち品をヨドバシカメラやビックカメラのアウトレットコーナーで買うと7万〜12万円に抑えられます。
中古家電はどこで買うか
高田馬場周辺なら、新大久保・早稲田寄りのトレファクスタイル早稲田店(衣類・小物中心)や、京王線沿線の店舗で家電を扱うトレジャーファクトリーで冷蔵庫・洗濯機のセットが2万〜4万円で出ていることがあります。学生需要の多い3月は在庫が動きやすいので、複数店舗をネット検索で比較するのが効率的です。
多摩センター周辺だと、セカンドストリート多摩境店やトレジャーファクトリー八王子みなみ野店が近い。車がないと運搬が難しいので、配送サービス付きの店を選ぶか、親のワンボックスカーで引き取りに行くのが現実的です。
ジモティー(地域の掲示板サービス)では「卒業生が冷蔵庫・洗濯機をセットで5,000円」のような出品が3月〜4月に増えます。引き取りに行く手間はかかりますが、費用面では最も安い選択肢です。
「最初は買わない」という判断
炊飯器は自炊を始めるまで不要。掃除機はクイックルワイパーで代替できる。本棚は段ボールを積んでおけば1ヶ月はしのげる。
「今すぐ必要なもの」と「住み始めてから買うもの」を分けると、初日に揃えるべきものは冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ・照明・カーテン・寝具の6つ。それ以外は住み始めて「あった方がいい」と感じてからでも遅くありません。
トータルの目安 — 家賃別シミュレーション
| パターン | 初期費用 | 引越し代 | 家電 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 多摩センター・節約型(家賃5万・礼金なし・単身パック・中古家電) | 20万円 | 3万円 | 6万円 | 約29万円 |
| 高田馬場・標準型(家賃12万・礼金1ヶ月・業者利用・新品家電 ※HOME’S実勢1K 13-15万円台) | 約53万円 | 7万円 | 15万円 | 約75万円 |
| 御茶ノ水・フル装備型(家賃13万・礼金1ヶ月・繁忙期・新品家電 ※SUUMO 2026年4月更新1K 13.3万円) | 約57万円 | 12万円 | 18万円 | 約87万円 |
節約型と標準型の差は約45万円。この差は「多摩センターか高田馬場か」「礼金ありかなしか」「中古家電か新品か」の3つの選択で生まれています。家賃の地域差が直接「初期費用=家賃4〜6ヶ月分」に効くため、都心エリアを選ぶときは初期費用50万円超を覚悟する必要があります。
費用を削れる順番 — 効果が大きいものから
全部を新品・正規で揃える必要はありません。効果が大きい順に:
礼金ゼロの物件を選ぶと、家賃1ヶ月分(5万〜8万円)がそのまま浮きます。これが最もインパクトが大きい。
仲介手数料を抑えた窓口(直営店のエイブルや大学生協経由)を使うと、家賃0.5〜1ヶ月分の差になる場合があります。割引率は大学・提携不動産会社・FC加盟店の方針によって異なるため、具体額は申込前に窓口で確認してください。
引越し日を3月末から4月中旬にずらすと、業者利用で3万〜5万円、単身パックでも5,000〜10,000円の節約。たった10日ずらすだけの話です。
冷蔵庫と洗濯機を中古にすると、新品と比べて3万〜6万円安い。型落ち品(1年前のモデル)なら機能はほぼ同じで2割〜3割安くなります。
カーテン・照明・食器は、ニトリや無印良品の低価格ラインで十分。引越し当日に間に合わせで買い、気に入らなければ後から替えれば問題ありません。高田馬場ならニトリ新宿店(西武新宿駅近く)、多摩センターなら三越跡のテナントに入っている雑貨店や、ぐりーんうぉーく多摩内のダイソーが使えます。
まとめ
一人暮らし開始の総費用は、家賃5万円(多摩センター)で30万〜50万円、家賃12〜13万円(高田馬場・御茶ノ水のHOME’S/SUUMO実勢)で75万〜90万円が現実的なレンジです。
費用の大きい順は「部屋の初期費用 > 家具家電 > 引越し代」。引越し代は全体の中では比較的小さいものの、繁忙期を避けるだけで数万円変わる。「礼金ゼロ物件を選ぶ」「3月末を外す」「冷蔵庫と洗濯機は中古にする」——この3つを実行するだけで、総額を10万〜15万円圧縮できます。
参照元・注記
- 単身パック料金: 日通「単身パックL」公式サイト掲載の概算料金(税込30,800円〜・Sサイズは2023年5月31日販売終了)およびアートセッティングデリバリー(旧ヤマトホームコンビニエンス、2025年1月社名変更)「わたしの引越」公式サイト掲載料金(税込23,100円〜)を参照
- 引越し料金の時期別変動: 引越し一括見積もりサービス各社の公開料金帯(2025年〜2026年)をもとに編集部が目安を算出。引越しシーズンの繁閑による料金変動は不動産・引越し業界の一般的な特性に基づく
- レンタカー料金: ニッポンレンタカー・トヨタレンタリース各社の公式サイト掲載料金(2026年3月閲覧)
- 高速道路料金: NEXCO東日本・NEXCO中日本の料金検索(2026年3月時点のETC料金)
- 家電価格帯: ヨドバシカメラ・ビックカメラの店頭価格帯(2026年3月時点)および価格.comの最安値帯を参照
- 中古家電相場: トレジャーファクトリー・ハードオフ各社の店頭価格帯(2026年3月時点、編集部調べ)
- 掲載数値は参考値です。実際の費用は物件・業者・時期・荷物量によって異なります