合格発表が出てから「さて、部屋を探すか」と動き始めると、2〜3週間はあっという間に過ぎます。その2〜3週間で、条件のいい物件から順に成約していく。部屋探しは受験勉強と同じで、“スタートが早い人”が有利な勝負です。
首都圏の賃貸市場では、1月下旬〜2月に退去予定の物件情報が一斉に出回り始めます。合格発表のタイミング(一般入試で2月上旬〜中旬)とちょうど重なるため、合格が決まった翌日から動き始めても「遅すぎる」ということはありません。ただし、3月に入ってから動き始めた場合は、人気エリアの物件在庫がすでに半分以下になっていることを覚悟しておいてください。
この記事でわかること
- 受験前〜入学式の6ヶ月スケジュール
- 2月中に動くべき理由(物件在庫の推移)
- 引越し費用が倍になる時期とずらし方
- 親と一緒に動く場合の段取り
6ヶ月前から入学式まで: 月別スケジュール
11月〜12月(受験前): 準備だけ済ませておく
受験勉強の真っ最中にがっつり物件を探す必要はありません。ただ、以下の2つだけは年内に片付けておくと、合格後の動きが格段に速くなります。
1つ目は、住みたいエリアの目星。志望校のキャンパスがどこにあるか、その最寄り駅から1〜3駅の範囲でどの街に住む可能性があるか。SUUMOやHOME’Sで「大学名 一人暮らし」と検索すれば、エリアの候補はすぐに出てきます。
2つ目は、家賃の予算を親と確認すること。「管理費込みで月いくらまで出せるか」。ここが決まっていないと、合格後の物件検索で条件が絞れません。仕送り額・奨学金・バイト収入の見込みも含めて、ざっくり話しておく。
この2つを済ませておくだけで、合格発表後に「エリアはここ、予算はここまで」と即座に検索をかけられます。
1月(共通テスト後〜私立入試): 推薦合格者は動き始める
指定校推薦・総合型選抜で合格が決まっている人は、この時期から物件を探し始められます。一般入試の受験者が動き出す2月よりも1ヶ月早いので、物件の選択肢が最も広い時期です。
この時期の物件は「3月末に退去予定」として募集に出ているものが多い。入居可能日が3月下旬〜4月上旬になるため、早く契約しても住み始めるのは春からです。「2ヶ月分の家賃を無駄に払う」ことにはならないので、推薦合格者は遠慮せず動いていい。
2月上旬〜中旬(一般入試合格発表後): 最優先で内見に動く
一般入試の合格発表は、私立大学で2月上旬〜中旬、国公立前期で3月上旬が目安です。私立大学の合格が出たら、その週のうちに物件検索を始め、翌週には内見の予約を入れるくらいのペースが理想です。
ここで知っておくべき数字があります。大学生協お部屋探しWebの調査では、一般入試合格者の約49%が2月以前に物件探しを開始、約69%が3月以降に部屋を決定しています。つまり半数は2月から動いて準備、決定の山は3月という流れです。3月から動く人は、先行者が選び終わった残りから選ぶことになります。
内見は3〜5件が目安。それ以上見ると比較が難しくなり、決断が遅れます。内見前に「絶対に譲れない条件」を2つだけ決めておくこと(例: 「バストイレ別」「駅徒歩10分以内」)。すべての条件を満たす物件は現実には少ないので、優先順位をつけることが判断のスピードにつながります。
2月末〜3月上旬: 契約
気に入った物件があれば、内見から数日以内に申し込みを入れる。賃貸契約の審査は通常3〜7日、保証会社の審査が入ると1週間以上かかることもあります。
この時期が「契約のゴールデンゾーン」と呼ばれるのは、物件の在庫がまだ一定数残っていて、かつ入学式までに十分な準備時間が確保できるから。3月中旬以降に契約すると、引越し手配や家具家電の購入がバタバタになるリスクが上がります。
3月上旬〜中旬: 引越し業者の手配・生活準備
引越し業者の予約は、物件契約と並行して進めるのが鉄則です。
ここで大事なのは、引越し日を「いつにするか」。3月末〜4月上旬は引越し業界の年間最大の繁忙期です。SUUMOの繁忙期平均は単身小57,832円・単身大81,903円・長距離(500km以上)で単身大130,589円。荷物が多めで距離が長く、3月末のピーク日に予約する条件が重なると12〜14万円に届くこともあります。ミツモアの集計でも3月ピークは通常期平均の1.4倍、条件次第で最大2倍です。
料金を抑えたいなら、3月中旬(15日前後)の平日に引越すのが現実的な落としどころ。繁忙期には入っていますが、月末のピークからは1〜2週間ずれるため、料金は1.3〜1.5倍程度で済むことが多い。「入学式の2週間前に引越して、その間に生活を整える」というスケジュールが理想です。
3月下旬〜4月上旬: 引越し・新生活スタート
引越し当日にやること: 鍵の受け取り → 荷物搬入 → 電気・ガス・水道の開通確認。ガスは開栓に立ち会いが必要なので、引越し日に合わせてガス会社に予約しておく。
入居初日に最低限必要なもの: カーテン(外から部屋が見えるのを防ぐ)、寝具、トイレットペーパー、ゴミ袋、タオル。この5つだけは引越し当日に使える状態にしておくこと。残りの生活用品は翌日以降に揃えれば間に合います。
3月に入ってから動き始めた場合
「まだ合否がわからない」「忙しくて動けなかった」——3月から部屋探しを始めるケースは珍しくありません。物件がゼロになっているわけではないので、焦りすぎる必要はありません。
ただし現実として、「駅近・設備充実・礼金なし」が揃った物件は先に取られている可能性が高い。3月から動くなら、条件の優先順位を”3つから2つに減らす”判断が必要です。「バストイレ別は諦めて、駅距離と家賃を優先する」のように、切り捨てる条件を先に決めると、物件選びが早く進みます。
もう一つの選択肢として、入居時期を4月中旬以降にずらす方法があります。4月に入ると「3月中に決まらなかった物件」が再び出回るため、在庫が少し回復します。入学式には間に合わないかもしれませんが、最初の1〜2週間をウィークリーマンションやホテルで過ごして、落ち着いてから物件を決める——という手も使えます。
引越し費用: 日程選びだけで数万円の差が出る
大学入学の引越しは3月に集中するため、時期による料金差がもっとも大きい。同じ荷物量・同じ距離でも、日程が1〜2週間違うだけで費用が大きく変わります。
| 時期 | 単身の目安(同都道府県内) | 混雑度 |
|---|---|---|
| 2月 | 4万〜7万円 | やや混雑 |
| 3月上旬 | 5万〜8万円 | 混雑 |
| 3月中旬 | 6万〜10万円 | かなり混雑 |
| 3月下旬 | 8万〜14万円 | ピーク |
| 4月上旬 | 6万〜10万円 | やや混雑 |
| 4月中旬以降 | 3万〜6万円 | 通常期に戻る |
遠距離(500km以上)の場合は、繁忙期で14〜24万円に達することもあります。地方から上京する学生は、「荷物を最小限にして、家電は現地で買う」方が総コストを抑えられるケースが多い。冷蔵庫・洗濯機・電子レンジの3点を新生活セールで買えば5〜8万円程度。引越し荷物をダンボール10箱以下に絞れれば、宅急便で送るだけで済むこともあります。
親と一緒に動くときの段取り
内見に親が同行する場合、2月中に「来てもらえる日」を確保しておくこと。受験生本人よりも、親のスケジュール調整が遅れて判断が先延ばしになるケースが意外と多い。
親が遠方に住んでいる場合は、以下の段取りがスムーズです。
本人がオンライン内見で候補を3件に絞る → 親に写真と条件を共有してビデオ通話で相談 → 合意が取れたら申し込み → 契約書類は郵送かオンラインで対応
最近はオンラインで完結する不動産会社も増えているため、「親が現地に来なくても契約できる」ケースは珍しくありません。ただし契約前に1回は実物を見ておいた方がいい。本人が内見に行ける場合は、写真と動画を親に送って判断材料にしてもらう方法が効率的です。
参照元・注記
- 引越し費用の相場(時期別・距離別): 引越し侍・SUUMO引越しの公開料金データ(2025〜2026年)をもとに編集部が整理
- 繁忙期の混雑ピーク予測: ミツモア「2026年2月・3月・4月引越し混雑度カレンダー」(2026年1月公開)
- 部屋探し開始時期の統計: 全国大学生活協同組合連合会および不動産情報サイトの調査データ(2024〜2025年)をもとに編集部が整理
- 物件在庫の動向: 不動産業界の繁忙期・閑散期の一般的な特性および編集部ヒアリングをもとに整理(2026年4月)
- スケジュールはあくまで目安です。大学の合格発表日程や地域によって異なります