「3年からキャンパスが変わるらしいけど、引越しって必要なの?」——入学前にはあまり意識していなかったこの問題が、2年の秋あたりからじわじわ現実味を帯びてきます。

キャンパスが変わる大学は想像以上に多い。明治大学なら和泉(明大前)から駿河台(御茶ノ水)へ、慶應義塾大学なら日吉から三田へ。今の部屋から新キャンパスに通えなくはないけれど、片道40分が毎日となると話は別です。

この記事では、主要大学のキャンパス移動パターンを整理した上で、「引越すべきか、そのまま通うか」の判断基準と、引越す場合の費用・段取りをまとめています。

この記事でわかること

  • 主要大学のキャンパス移動パターン一覧
  • 引越す vs 通い続ける: コスト比較シミュレーション
  • 在学中の引越しは入学時より安く済むことが多い
  • 短期解約違約金・更新料のチェックポイント

どの大学で、いつキャンパスが変わるか

東京の主要大学で「学年が上がるとキャンパスが変わる」パターンを持つ大学は、思った以上にたくさんあります。

大学1〜2年のキャンパス3年以降のキャンパス対象学部
明治大学和泉(明大前・杉並区)駿河台(御茶ノ水・千代田区)法・商・政経・文・経営・情コミュの6学部
慶應義塾大学(文学部)日吉(横浜市港北区・1年のみ)三田(港区・2〜4年)文学部
慶應義塾大学(経済・法・商)日吉(横浜市港北区・1〜2年)三田(港区・3〜4年)経済・法・商
法政大学多摩(町田市・現行は4年完結)市ケ谷(千代田区・経済学部は2030年目途移転計画)経済学部(将来計画)・他の市ケ谷所属学部はそもそも多摩を経由しない
早稲田大学(参考)戸山・早稲田(新宿区)同一キャンパス内で学科ごとに棟が変わる程度文・文化構想(引越しを伴うキャンパス移動は通常なし)

中央大学の法学部は2023年に多摩キャンパスから茗荷谷キャンパス(文京区)へ全学年一括移転しました。1年から4年まで茗荷谷で完結するため、在学中のキャンパス移動はありません。ただし経済・商・文・総合政策・国際経営の5学部は引き続き多摩キャンパスで4年間を過ごします。

明治・慶應の「移動」は何がキツいのか

数字だけ見ると、明治の和泉→駿河台は京王線+JR中央線で約35分、慶應の日吉→三田は東急東横線+都営三田線で約30分。「通えなくはない距離」に見えます。

ところが実際に通い続けた人の声を聞くと、問題は所要時間だけではありません。

和泉キャンパス周辺(明大前・下高井戸・桜上水あたり)に住んでいた明治の学生が、3年から駿河台に通う場合を考えてみてください。明大前から新宿まで京王線で約5分、新宿からJR中央線で御茶ノ水まで約15分。乗り換えの待ち時間を含めるとドアtoドアで40〜50分。1〜2年のころは自転車10分で大学に着いていたのに、3年からは毎朝ラッシュの京王線に揺られる生活に変わります。

慶應の場合はさらに事情が複雑です。日吉周辺(日吉・綱島・元住吉あたり)は家賃が5万〜9万円台で学生には住みやすいエリアですが、三田キャンパスの最寄り駅は田町駅(JR山手線)・三田駅(都営三田線)。日吉から三田まで電車で約30分とはいえ、三田周辺で暮らそうとすると家賃はLIFULL HOME’Sの実勢で1R 15万円台・1K 12万円台まで跳ね上がります。文学部は1年だけ日吉で2年から三田、経済・法・商は2年まで日吉で3年から三田と、判断するタイミングも学部で異なります。

つまり「通い続ければ引越し代はゼロだが通学時間が増える」「引越せば時間は短縮できるが家賃が上がる」——この天秤を、2年の秋〜冬に判断しなければなりません。

引越す場合と通い続ける場合のコスト比較

ここで「引越しにかかるお金」と「通い続けた場合に失うもの」を具体的に比較してみます。

引越した場合のコスト(明治大学・和泉→駿河台の例)

項目金額の目安
新居の初期費用(敷金1・礼金1・仲介手数料・前家賃)28万〜40万円(家賃7万円の物件の場合)
引越し業者(同都道府県内・単身・通常期)3万〜5万円
旧居の退去費用(原状回復・クリーニング)3万〜6万円
合計34万〜51万円

初期費用の内訳をもう少し見ると、敷金1ヶ月(7万円)+ 礼金1ヶ月(7万円)+ 仲介手数料(上限で家賃の1.1ヶ月分=約7.7万円)+ 前家賃1ヶ月(7万円)= 約28.7万円。ここに火災保険料や保証会社の保証料が加わって30万〜40万円になるのが一般的です。

ただし、敷金・礼金ゼロの物件を選べば初期費用は15万〜20万円程度まで圧縮できます。LIFULL HOME’Sの2025年調査によると、首都圏の礼金ゼロ物件の割合は増加傾向にあり、特に学生向けワンルーム・1Kでは選択肢が広がっています。

通い続けた場合の「隠れコスト」

引越さなければ初期費用はゼロですが、通学時間が往復で1時間以上増えるケースが多い。1日1時間 x 週4日通学 x 年間30週 = 年間120時間。2年間なら240時間です。

交通費も見落とせません。明大前→御茶ノ水の定期代は6ヶ月で約4.5万円(京王線+JR中央線、通学定期)。駿河台近くに引越して徒歩通学にすれば、この定期代がなくなります。2年間で約18万円の節約になる計算です。

結局のところ、「引越し初期費用35万円」と「2年間の通学時間240時間+交通費18万円」を天秤にかける判断になります。バイトの時給を1,200円とすると、240時間は約29万円分。数字だけで見れば、引越した方がトータルでは得になるケースが多い。

いつから部屋を探し始めるか

入学時の引越しとは違い、キャンパス移動に伴う引越しは時期の自由度が高いのが特徴です。3月末にこだわる必要がないため、引越し料金が安い時期を狙えます。

おすすめのスケジュール

キャンパスが変わるのが4月からだとして、逆算すると以下の流れになります。

10月〜11月に「引越すかどうか」を決める。同じゼミやサークルの先輩に「3年から引越した? そのまま通った?」と聞いてみるのが一番手っ取り早い判断材料です。

12月〜1月に物件を探し始める。この時期はまだ新入生の需要が本格化する前なので、物件の在庫は豊富です。不動産会社も比較的空いていて、内見の予約が取りやすい。

2月に契約を済ませる。入居日は3月上旬〜中旬に設定すれば、新年度のオリエンテーションやゼミの初回に余裕を持って参加できます。

引越し業者の手配も2月中がベスト。3月の繁忙期に入る前に予約すれば、単身・同都道府県内の引越しで3万〜5万円の通常料金で済みます。3月下旬にずれ込むと、同じ条件で6万〜10万円に跳ね上がることも珍しくありません。

今の部屋の契約、途中で解約するとどうなるか

在学中の引越しで見落としがちなのが、今住んでいる部屋の契約条件です。

賃貸契約の多くは2年契約ですが、途中解約自体は可能です。ほとんどの契約書に「解約の1ヶ月前(または2ヶ月前)までに通知すれば退去できる」と書かれています。

注意したいのは「短期解約違約金」。入居から1年未満で退去すると家賃1ヶ月分の違約金がかかる物件があります。1年の入学時に入居して、3年の3月に退去する場合は入居から2年経っているので通常は問題ありません。ただし念のため、退去を決めたら契約書の「解約条項」を読み直しておいてください。

もう一つ、更新料のタイミングも確認しましょう。2年契約の更新月がちょうど3年の春(入居から丸2年)にあたる場合、更新料(家賃1ヶ月分が相場)を払った直後に引越すのはもったいない。更新月の前に退去するか、更新せずに退去するかを事前に計算しておくと無駄がなくなります。

引越し費用を安くする5つの方法

在学中の引越しは、入学時の引越しよりもコストを抑えやすい。理由は「3月末に間に合わせなくていい」からです。

1つ目、引越し時期を5〜6月にずらす。引越し業界の閑散期にあたるため、単身・近距離なら2万〜4万円で済むことがあります。大学の授業が始まってからの引越しにはなりますが、2〜3週間は旧居から通って、ゴールデンウィーク明けに引越すというスケジュールなら授業への影響も最小限です。

2つ目、大学生協の引越しサービスを利用する。日通やアート引越センターなどの提携業者を組合員価格で使えます。全国大学生活協同組合連合会のサイト(univ.coop/moving/)で申し込み可能。通常見積もりと比較して安い方を選べばいい。

3つ目、荷物を減らす。1〜2年で使っていた家具・家電のうち、劣化しているものは処分して現地で買い直す方が安くなることがあります。特に冷蔵庫と洗濯機は運搬費が高い。ジモティーやメルカリで売って、新居の近くのリサイクルショップで同程度のものを買えば、差額がプラスになることすらあります。

4つ目、単身パックを使う。日本通運の「単身パック当日便」「単身パックL」や、アートセッティングデリバリー(旧ヤマトホームコンビニエンス、2025年1月社名変更)の「わたしの引越」など、専用ボックス1台分の荷物を運ぶサービスがあります。ダンボール15箱+衣装ケース3個程度なら収まり、同一エリア内で2万〜3万円前後。

5つ目、敷金礼金ゼロの物件を狙う。初期費用の中で最もインパクトが大きいのは敷金と礼金。両方ゼロなら初期費用が14万円ほど減ります。「ゼロゼロ物件」で検索すれば候補は出てきますが、退去時のクリーニング費用が別途高めに設定されていることもあるため、契約前に退去費用の見積もりを確認しておくこと。

引越さずに通い続ける場合のコツ

引越し費用をかけたくない、あるいは今の部屋が気に入っている場合は、通い続けるのも十分ありな選択です。

明治大学の場合、明大前から御茶ノ水へは京王線の急行で新宿まで出て、JR中央線快速に乗り換えるルートが定番。所要時間は35〜40分ですが、朝8時台の京王線は混雑がかなりのもの。1本早い電車に乗って新宿で乗り換える余裕を持つだけで、体感のストレスはだいぶ変わります。

慶應の場合、日吉から三田へは東急目黒線で直通の都営三田線に乗れば乗り換えなしで約25分。日吉始発の電車なら座れる可能性も高い。通学時間を読書やオンライン講義のアーカイブ視聴にあてている学生もいます。

3年からはゼミが始まり、帰りが遅くなる日も出てきます。御茶ノ水や三田から23時台に帰れるルートがあるかどうかは事前に確認しておいた方がいい。終電を逃すとタクシー代が数千円かかるので、「年に何回終電を逃しそうか」も判断材料に入れておきましょう。

キャンパス移動で引越す人はどれくらいいるのか

正確な統計データはありませんが、実態としては「半分くらいが引越す」という感覚が近いようです。

明治大学の場合、和泉キャンパス周辺で暮らしていた学生の一定数が3年進級時に駿河台周辺へ引越しています。一方で、新宿や渋谷など「どちらのキャンパスにもアクセスしやすいエリア」に最初から住んでいた学生は、そのまま通い続けるケースが多い。

慶應義塾大学では、日吉から三田への乗り換えなし直通ルートがあるため、引越さずに通い続ける学生の割合がやや高い印象です。ただし就活が本格化する3年後半〜4年になると、都心へのアクセスを考えて引越す学生も出てきます。

入学時点で「2年後にキャンパスが変わる」とわかっているなら、最初から両方のキャンパスに通いやすい場所に住むのが一番スマートな戦略です。明治なら新宿駅周辺(和泉にも駿河台にも20分圏内)、慶應なら目黒・武蔵小杉あたりが候補になります。ただし家賃はそのぶん高くなるので、トータルコストで考える必要があります。

引越し先の選び方: 3年以降を見据えた物件探し

キャンパス移動で引越す場合、入学時と違って「自分が何を重視するか」が明確になっている分、物件探しは効率よく進みます。

駿河台キャンパス(御茶ノ水)周辺で明治の学生が探す場合、水道橋・本郷三丁目・湯島あたりが家賃と通学のバランスが取りやすい。御茶ノ水駅至近は家賃が高め(LIFULL HOME’S実勢で1R/1K/1DK平均約15万円台)ですが、少し離れた本郷三丁目周辺なら1K平均13万円台、千代田線の根津・千駄木まで視野を広げれば10万円前後の物件も見つかります。

三田キャンパス周辺で慶應の学生が探す場合、白金高輪・泉岳寺・大門あたりが候補。三田駅直結の都営浅草線沿いで五反田方面に1〜2駅ずらすと、家賃を1万〜2万円下げられます。

物件を決めるときに忘れがちなのが「卒業までの残り年数」。3年の4月に入居して卒業が4年の3月なら、実質2年間の居住になります。2年契約の更新が不要なタイミングに合うので、更新料を気にせず住めるのは地味にありがたいポイントです。


参照元・注記

  • キャンパス・学部の配置情報: 明治大学・慶應義塾大学・中央大学・法政大学の各公式サイト(2026年4月確認)をもとに編集部が整理
  • 中央大学法学部の茗荷谷移転: 中央大学公式プレスリリース「法学部1〜4年生が2023年4月から茗荷谷キャンパスに移転」(2021年10月発表)
  • 法政大学経済学部の市ケ谷移転予定: 法政大学新聞学会「2030年キャンパス再構築 経済学部、市ケ谷キャンパスに移転」
  • 家賃相場(ワンルーム・1K): SUUMO・HOME’Sの各エリア掲載物件(2026年4月調査)をもとに編集部が中央値・レンジを算出
  • 引越し費用の目安(時期別・距離別): 引越し一括見積もりサービスの公開料金帯(2025〜2026年)をもとに編集部が算出
  • 初期費用の内訳: 宅地建物取引業法に定める仲介手数料の上限(家賃の1.1ヶ月分)ほか、敷金・礼金・前家賃の一般的な相場をもとに編集部が整理
  • 礼金ゼロ物件の動向: LIFULL HOME’S「2025年の首都圏『敷金・礼金』動向」調査(2025年公開)
  • 通学定期代: 京王電鉄・JR東日本の通学定期運賃表(2026年4月時点)をもとに編集部が算出
  • 大学生協の引越しサービス: 全国大学生活協同組合連合会 引越しサービスページ(univ.coop/moving/、2026年4月確認)
  • 掲載数値は参考値です。実際の家賃・引越し費用・初期費用は物件・時期・条件によって異なります

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