日吉駅の東口を出ると、目の前にまっすぐ伸びる銀杏並木。その先に白い外壁の日吉記念館が見える。1935年の植樹から約90年、慶應義塾大学の新入生は毎年この並木道を歩いて大学生活を始めます。
入学式が終わって日吉の1Kに荷物を運び込み、「塾生」としての最初の1週間が始まる。履修登録、サークルの新歓、keio.jpのメールアドレスの設定。やることは山ほどあるのに、何から手をつければいいかわからない——それが4月の慶應です。
ここでは入学式から前期試験が終わる7月末まで、日吉キャンパスに通う新入生がどんな3ヶ月を過ごすことになるかを追いかけます。
この記事でわかること
- 4月上旬: 入学式・新歓・履修登録と怒涛の1週間
- 4月中旬〜下旬: 授業が始まり、語学クラスで友人ができる
- 5月: GWを挟んで生活が安定してくる
- 6月: 梅雨とレポート。バイトを始める人が増える
- 7月: 前期試験。最初の区切り
4月上旬 — 入学式と銀杏並木の新歓
4月1日: 日吉記念館の入学式
2026年度の入学式は4月1日、日吉記念館で開催されました。学部新入生7,051名、大学院生1,824名、合わせて8,875名の新入生を迎える式典です。開場は12時45分頃、式は14時から約1時間10分。
入学式の帰り道、銀杏並木を下っていくとさっそくサークルの先輩たちがビラを手に待ち構えています。慶應では4月2日・3日・6日が日吉キャンパス対面新歓の集中日程で(全塾協議会公式)、銀杏並木やキャンパス各所で団体紹介のブースやステージイベントが展開される。全塾協議会が運営する公認サークル紹介サイト「Circle Square」でパンフレットを事前にチェックしておくと、当日の動き方がスムーズです。
慶應には「塾」という独特の呼称があります。「大学」ではなく「塾」、「学生」ではなく「塾生」。入学式で塾歌を聴く体験は、自分が慶應義塾の一員になったことを実感する瞬間です。
4月上旬: 履修登録
4月8日から春学期の授業が始まります。それまでにkeio.jpのアカウントを設定し、学事Webシステムで履修登録を済ませる必要がある。
1年生の時間割は語学と必修科目で半分以上が埋まります。英語は統一テストの結果でクラス分けされ、第二外国語(ドイツ語・フランス語・中国語・スペイン語など)は自分で選択する。この語学クラスが、慶應での最初の「居場所」になります。週に何度も顔を合わせるので、クラスメイトとは自然に仲良くなれる。4月末までに「語学の友達」が3〜4人いれば、日吉での生活はかなり心強い。
残りのコマは総合教育科目や自由選択科目で埋める。「空きコマをどう使うか」が日吉生活の快適さを左右しますが、最初の週は教室の場所を覚えるだけで精一杯なので、履修の最適化は2週目以降に考えればいい。
| 時期 | やること | 備考 |
|---|---|---|
| 3月下旬〜 | keio.jpアカウント設定 | メールやWi-Fi接続に必要 |
| 4月1日 | 入学式(日吉記念館) | 14:00開始 |
| 4月2日・3日・6日 | 新歓集中日程(日吉) | 終日開催。銀杏並木周辺 |
| 4月8日 | 春学期授業開始 | |
| 4月上旬 | 履修登録期間 | 語学クラスは抽選あり |
| 4月23日 | 開校記念日 | 授業あり(慶應公式・学事日程) |
新歓の過ごし方
銀杏並木を歩いていると「何かやってるんですか?」と声をかけられるのが4月の日吉の風景。体育会からインカレサークル、音楽系、学術系まで、慶應には数百の団体が存在します。
新歓コンパの会場は、たいていひようら(日吉商店街)の居酒屋。駅の西口を出てすぐの路地に広がる商店街で、飲み放題コース3,000円前後の店が並んでいます。初めてのサークル飲みで「日吉の夜はこういう感じか」と知るのも4月の体験。
入るサークルは5月に入ってから決めても遅くありません。ただ、4月に一度も新歓に行かないと、あとから「入りづらい」と感じる場合はある。気になる団体には顔を出しておくのが無難です。
4月中旬〜下旬 — 授業が回り始める
語学クラスが「ホーム」になる
授業が始まって2週間もすると、語学クラスのメンバーの顔と名前が一致してくる。慶應の語学は少人数クラス制で週に複数回あるため、学部の大教室の授業よりも先にこちらで友人関係ができます。
「2限の英語のあと、メディアセンター(図書館)で一緒に課題やろう」——こういう会話が自然に生まれるのが4月後半。空きコマの過ごし方が固まり始めるのもこの頃です。日吉メディアセンターの自習席で課題を片付ける日、天気がよければ銀杏並木のベンチでコーヒーを飲む日。キャンパスのなかに自分の居場所が少しずつ増えていきます。
一人暮らしの立ち上げ
日吉は駅の東口にキャンパス、西口にひようらと東急ストアという構造で、生活に必要なものが半径200mに収まっています。足りない生活用品はひようら周辺のドラッグストア(マツモトキヨシ)やダイソーで揃う。
自炊を始めるなら、日吉東急アベニュー(駅ビル)の食料品フロアか、まいばすけっと日吉駅西口店が最寄りのスーパー。4月の段階では米を炊いて味噌汁を作り、おかずは惣菜を買う——くらいのレベルで十分です。
4月23日は開校記念日(慶應公式)。授業がある日として運用されているので、休みではなく授業日として動く前提でスケジュールを組みます。横浜駅までは東横線で約10分なので、休日に時間が空いたタイミングでニトリやIKEAで家具を見繕うにも便利な立地です。
5月 — 日吉のリズムが見えてくる
GW明けの感覚
2026年度のゴールデンウィークは5月3日〜6日の4連休。実家に帰省する人、サークルの新歓合宿に行く人、日吉に残ってのんびりする人。過ごし方はそれぞれですが、GW明けに日吉に戻ったとき「帰ってきた」という感覚があれば、この街に馴染み始めた証拠です。
5月になると1週間のパターンが固まってくる。何限に授業があり、空きコマはどこで過ごし、帰りにどのスーパーに寄るか。「自分の動線」ができるのがこの時期です。
ひようらの常連になる
昼食の選択肢が広がるのも5月の変化。キッチンとらひげの老舗ハンバーグ・ロースかつ定食を「迷ったらここ」に据えている先輩は多い。武蔵家 日吉店の家系ラーメン(ライス無料)は、2限後の空腹を確実に満たしてくれます。HI, HOW ARE YOUのスパイスカレーも定番(かつてあったパスタレストラン マリーンは2018年2月末で閉店済み)。ひようらの店を4〜5軒知っている段階で、昼食のローテーションが回り始めます。
生協食堂で400〜600円の定食で済ませる日と、ひようらに出て800〜1,000円の外食をする日。この使い分けが感覚的にわかってくると、食費のコントロールがしやすくなります。
体育会の応援文化に触れる
慶應の体育会は日吉に活動拠点を置く部が多く、5月以降は週末にグラウンドで試合を見かける機会が増えます。神宮球場での慶早戦(早慶戦)は秋がメインですが、春季リーグ戦で野球部の応援に行く塾生もいる。「慶應のスポーツを応援する」文化は、入学してから体感するもの。應援指導部の統率のもと三色旗を振る経験は、日吉にいるうちに一度は味わっておくと大学への帰属意識が変わります。
| 項目 | 月額の目安 |
|---|---|
| 家賃(日吉駅徒歩10分圏・1K) | 6.5〜7.5万円 |
| 食費 | 2.5〜3.5万円 |
| 光熱費・通信費 | 1.0〜1.5万円 |
| 交通費(定期外・遊び) | 0.5〜1.0万円 |
| 日用品・雑費 | 0.5〜1.0万円 |
| 交際費(サークル・飲み会) | 1.0〜2.0万円 |
| 合計 | 12〜16万円程度 |
6月 — 梅雨とレポートの季節
最初のレポート課題
6月に入ると、総合教育科目を中心にレポート課題が出始めます。「A4用紙2枚以上」と言われて、何を書けばいいかわからない。高校までの感想文とは違う「学術的な文章」が求められることに戸惑うのが、多くの新入生の正直な感想です。
日吉メディアセンターにはレポートの書き方に関する資料が揃っているし、ライティングセンター的なサポートも活用できます。語学クラスの友人と「お互いの下書きを見せ合う」という経験をするのもこの頃。一人で抱え込まないのが大事です。
バイトを始めるタイミング
6月は授業リズムが完全に固まり、「週に何時間なら働けるか」が見えてくる時期。日吉は東急東横線で渋谷まで約25分、横浜まで約10分と交通の便がよく、バイトの選択肢が広い。
ひようらの飲食店で働く学生も多いですが、通学路上の渋谷・自由が丘・武蔵小杉あたりでバイトを見つけて、授業後にそのまま電車で向かうパターンも一般的。塾講師や家庭教師は時給1,500〜2,500円と高いけれど、曜日固定で授業準備もある。自分の生活リズムと相談して、6月中に一度試してみるのがいいタイミングです。
梅雨の日吉
6月中旬から梅雨に入ると、銀杏並木の坂道が滑りやすくなります。雨の日は足元に注意。折りたたみ傘を常にカバンに入れておく習慣は、この時期に身につきます。
雨の空きコマはタリーズコーヒー(日吉駅前)やキャンパス内のメディアセンターが定番の避難先。自炊する気力がない雨の夜は、まいばすけっとで惣菜を買って帰るか、ひようらの松屋やすき家で手早く済ませる。一人暮らしの地味なリアルですが、こういう日が淡々と積み重なって日常になっていきます。
7月 — 前期試験と最初の区切り
試験2週間前からの動き方
2026年度の日吉キャンパス春学期末試験は7月22日(水)から7月31日(金)の期間に実施され、夏季休校は8月1日(土)開始です(慶應公式・学事日程)。初めての大学の試験は、高校の定期テストとは勝手がまったく違います。
「試験範囲がどこなのかわからない」「ノートの取り方が合っているか不安」——こういう疑問は、サークルや語学クラスの先輩に聞くのが最短ルート。慶應は学部ごとに過去問が出回る文化があり、語学クラスの友人経由で手に入ることも多い。
試験2週間前になると、日吉メディアセンターの自習席は朝から埋まります。開館前に並ぶ学生もいるほど。席が取れなかったら、ひようらのカフェやファミレスに流れるか、キャンパス内の空き教室を探す。テスト期間中は「どこで勉強するか問題」が最大のストレスになりがちです。
| 場所 | 特徴 | 混雑度(試験前) |
|---|---|---|
| 日吉メディアセンター | 自習席・グループ学習室。蔵書も使える | 高(朝から満席になることも) |
| キャンパス内の空き教室 | 広くて静か。電源の有無は教室次第 | 中(穴場を知っているかどうか) |
| タリーズコーヒー日吉駅前 | 駅近・WiFiあり。長居しやすい | 高(試験期間は学生で混む) |
| 日吉東急アベニュー内のカフェ | 買い物ついでに使える | 中 |
| 自宅 | 集中できるかは人による | — |
バイトは試験前2週間はシフトを減らすか休む、というのが一般的。6月からバイトを始めた人は、最初の「シフト調整」をこの時期に経験します。
試験を終えて
7月末に試験が終わると、約2ヶ月の夏休みが始まる。サークルの夏合宿に行く人、実家に帰省する人、短期留学の準備をする人。慶應は海外プログラムが充実しているので、1年の夏から短期留学に挑戦する塾生も少なくありません。
「4月に引っ越してきた部屋に帰ってくると、もう完全に自分の場所になっている」——この感覚が、最初の3ヶ月の成果です。日吉は夏休み中でも街として動いていて、ひようらの飲食店は通常営業。学生が減る分だけ普段は混む武蔵家やキッチンとらひげに並ばずに入れたりする。8月の日吉を知っているのは、この街に住んでいる人だけの経験です。
秋学期が始まれば、また銀杏並木を歩くことになる。ただし今度は黄金色に染まった並木道を。11月の三田祭、神宮球場での慶早戦、そして秋の履修登録。日吉での2年目に向けた準備は、夏休みの間にゆっくり考えればいい。
まずは目の前の7月を乗り切ること。最初の試験を終えた塾生の顔は、4月1日の入学式の日とはずいぶん違って見えるはずです。
参照元・注記
- 入学式の日程・参加人数: 慶應義塾大学公式サイト「2026年度大学学部入学式、大学院入学式 開催」(2026年4月閲覧)をもとに編集部が確認
- 学事日程(授業開始日・試験期間・GW日程・創立記念日): 慶應義塾大学塾生サイト「塾生スケジュール(学事日程)」(2026年4月閲覧)をもとに編集部が整理
- 新歓日程: 全塾協議会公認サークル紹介サイト「Circle Square」2026年度春新歓参加概要(2026年4月閲覧)
- 銀杏並木の情報: 慶應義塾大学公式サイト「日吉キャンパス」ページ(2026年4月閲覧)
- 飲食店の価格帯・営業情報: Googleマップ・食べログの掲載情報(2026年4月閲覧)をもとに編集部が整理
- スーパーの営業時間: 各店舗の公式サイト・Googleマップ掲載情報(2026年4月時点)
- 家賃相場: SUUMO掲載物件(日吉駅徒歩10分圏・1K、2026年4月時点)をもとに編集部が算出
- 生活費の目安: 全国大学生活協同組合連合会「学生生活実態調査」および編集部による試算
- 価格・営業時間は変動することがあります。訪問前に最新情報を確認してください
慶應義塾大学の総合ガイド
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