東京大学に合格した。でも東京の土地勘がないし、さらに厄介なことに東大は2年Aセメスター以降にキャンパスが分かれる。前期課程の1・2年次のうち初めの1年半は駒場中心、2年Aセメスター以降は進学内定先により本郷・駒場・弥生など各キャンパスに分かれます。つまり「どこに住むか」を決めるには、4年間のどこかで引越しが入る可能性を前提に考える必要があります。

大学くらし編集部が本郷・駒場の両方を歩いて調べました。先にざっくり言うと、駒場は京王井の頭線で渋谷1駅3分・下北沢まで5分の閑静な住宅街、本郷は丸ノ内線と大江戸線が使える文京区の文教地区。1-2年を駒場で過ごしてから本郷に引越す「2拠点パターン」と、最初から本郷寄りに住んで4年間通し切る「本郷パターン」、両方にアクセスしやすい中間エリアを選ぶ「中間パターン」の3つが基本戦略になります。

この記事でわかること

  • 東京大学のキャンパス移動(駒場→本郷)の仕組み
  • 本郷エリア5候補と駒場エリア5候補の家賃相場(2026年4月調査)
  • 「4年間で引越すか、最初から本郷か」の判断軸
  • 院進予定者・研究室生活を見据えた本郷選択の考え方
  • 本郷・駒場の中間に住む第3の戦略

東京大学の2キャンパス体制と進学選択

物件探しを始める前に、東京大学の独特な仕組みを理解してください。他大学とは前提が違います。

時期キャンパス学部・課程
1年〜2年夏学期駒場キャンパス教養学部(前期課程。全員共通)
2年秋学期〜本郷キャンパスが中心後期課程(進学選択で決定した学部)

東大は入学時に学部ではなく「科類」(文科一類〜三類、理科一類〜三類)で入る仕組みで、1年半の駒場生活の成績と希望で2年後期からの進学先を選ぶ(いわゆる進学選択・旧称「進振り」)。文学部・法学部・経済学部・理学部・工学部の多くは本郷キャンパスが拠点ですが、教養学部後期課程に進めば駒場に残り、農学部なら弥生キャンパス(本郷のすぐ北)、医学部なら本郷と付属病院、という具合に進学先次第で通学先が変わります。

この構造があるため、東大生の住まい選びは「1-2年の通学を最優先する(駒場)」「3-4年の通学を最優先する(本郷)」「両方に届く中間点を取る(渋谷・神楽坂など)」の3パターンに分かれます。


【本郷エリア】2年後期以降と院進ルートを見据える

本郷キャンパスへのアクセスは、東京大学公式によれば東京メトロ南北線・東大前駅から徒歩1分、丸ノ内線・本郷三丁目駅から徒歩6〜8分、都営大江戸線・本郷三丁目駅から徒歩6分。文京区の高台に広がる文教地区で、赤門・安田講堂・三四郎池といった東大の象徴が集まっています。

朝の通学路と研究室生活

朝、本郷三丁目駅を出て春日通りを渡り、赤門をくぐってキャンパスに入る。徒歩数分で研究室や講義棟に着く動線は、進学先が本郷キャンパスに決まったあとの毎日を想像するとかなり快適です。昼は中央食堂(安田講堂前広場地下)や農学部食堂(農学部3号館地下1階)で済ませ、空きコマは総合図書館の自習席で課題をやる。図書館の開館時間・試験期の延長対応は東京大学附属図書館の公式ページで確認してください。

研究室配属後の生活を考えると、本郷の立地価値はさらに上がります。実験や論文執筆で深夜帰宅になる日、終電を気にせず歩いて帰れる安心感は大きい。院進を考えている人、研究室に長く残るタイプの学部(理学部・工学部・医学部など)に進むつもりの人は、最初から本郷に住むのが合理的です。

三四郎池は夏目漱石「三四郎」の舞台として知られる本郷キャンパス内の池で、春は桜、秋は紅葉の名所。研究の合間に散歩する学生も多い。赤門前の古書店街は文学部・法学部生の定期訪問先で、専門書を探して長居するのが本郷の風景の一部です。

本郷エリア5候補の家賃相場の考え方

本郷キャンパス周辺は文京区の高台にある文教地区で、家賃水準は都心レンジです。LIFULL HOME’Sの集計では、本郷三丁目駅の1K平均は13万円台、東大前駅の1K平均は10万円台。具体的な相場は時期・物件条件で大きく変動するため、SUUMO・HOME’S等の最新掲載物件で「本郷三丁目駅」「東大前駅」「春日駅」「後楽園駅」「湯島駅」徒歩10分以内で確認してください。

エリア本郷キャンパスへ特徴
本郷三丁目徒歩6〜8分 (公式)キャンパス直近。文京区の文教地区
東大前徒歩1分 (公式)南北線東大前駅。本郷三丁目より家賃を抑えやすい傾向
春日・後楽園徒歩10〜15分繁華街が近く外食・買い物の選択肢多い
湯島徒歩10分前後御茶ノ水・秋葉原が徒歩圏。賑やかさあり
後楽園徒歩15分前後東京ドーム・ラクーア圏内。遊び場が近い

築20〜30年の物件は同条件で家賃を抑えやすい傾向があり、東大前駅周辺や湯島は同条件でも本郷三丁目より家賃が下がる傾向があります。築浅やリノベ物件は家賃水準が一段上がる感覚です。具体的な金額は物件検索サイトの掲載物件で実数値を確認してください。

本郷エリアが向いている人

2年後期以降の通学を最優先したい人、院進予定で研究室生活が長くなりそうな人、文京区の文教地区の落ち着いた雰囲気が好きな人。1-2年の駒場通学は丸ノ内線→銀座線→井の頭線ルートで45分前後かかりますが、「最初の1年半の通学時間」と「残り2年半+院進2年の通学時間」を天秤にかけて本郷を選ぶ判断は合理的です。

反面、駒場通学45分を1-2年生のうちに毎日続けるのは体力を使います。1限がある日は朝7時前に家を出る生活になるため、朝が弱い人や1-2年のサークル・バイトを優先したい人には不向き。学生街特有のざわつきが少ない分、賑やかさを求める人にも物足りないかもしれません。


【駒場エリア】1-2年を徒歩通学で過ごす

駒場キャンパスは京王井の頭線の駒場東大前駅が最寄りで、駅から正門まで徒歩1分。東大生全員が1年〜2年夏学期まで通う場所です。

渋谷・下北沢が生活圏になる1-2年

朝、駒場東大前駅を出たら目の前が正門。1限9時開始でも8時50分に家を出れば間に合う距離は、駒場近辺に住む最大のメリットです。1号館の時計台前はサークル・ゼミ集合の定番スポットで、講義の合間はキャンパスの銀杏並木で座って話したり食事をしたりします。

井の頭線で渋谷まで1駅3分、下北沢まで5分。これが駒場エリアの生活実感を決定づけます。大人数の飲み会は渋谷に流れ、古着やライブハウス、路地裏飲みは下北沢。駒場から徒歩圏の駒場通りにも学生価格の居酒屋・ラーメン・定食屋がありますが、サークルの新歓や打ち上げは渋谷・下北沢が主戦場です。

買い物はまいばすけっと駒場東大前駅前店(駒場1-40-17・徒歩1分)やまいばすけっと駒場1丁目店(駒場1-11-14 駿河ビル・徒歩5分)で日常の食材が揃います。もう少し大型のスーパーが欲しければ池尻大橋や三軒茶屋方面まで足を伸ばす選択肢も。駒場野公園は旧東京駒場農学校跡地に田んぼが残る徒歩5分の公園で、新入生の花見スポットとしても使われます。

駒場祭(11月下旬)は1-2年生が主導する3日間の学園祭で、駒場に住んでいれば自宅から歩いて通える。五月祭のときは本郷に移動する必要がありますが、井の頭線→銀座線で40分程度です。

駒場エリア5候補の家賃相場の考え方

駒場東大前駅は京王井の頭線。LIFULL HOME’Sの集計では駒場東大前駅1Kの平均は12万円台で、本郷側よりやや低い傾向にあります。具体的な相場は時期・物件条件で大きく変動するため、SUUMO・HOME’S等の最新掲載物件で「駒場東大前駅」「池ノ上駅」「下北沢駅」「三軒茶屋駅」「代々木上原駅」徒歩10分以内で確認してください。

エリア駒場キャンパスへ特徴
駒場東大前徒歩1分前後キャンパス直近。閑静な住宅街
池ノ上徒歩10分 or 井の頭線1駅駒場東大前より家賃を抑えやすい傾向。下北沢徒歩圏
下北沢井の頭線で数駅古着・カフェ・ライブハウスの街
三軒茶屋渋谷経由田園都市線。家族連れも多い住みやすい街
代々木上原井の頭線経由千代田線直通。駒場側で家賃水準が高めのエリア

文京区と目黒区・世田谷区の地価の違いや、本郷三丁目駅(丸ノ内線・大江戸線)と駒場東大前駅(京王井の頭線)の路線条件の違いが、家賃水準の差として現れます。具体的な水準差は物件検索サイトの掲載物件で実数値を比較してください。

駒場エリアが向いている人

1-2年の駒場通学を最優先し、渋谷・下北沢のカルチャーに触れながら大学生活を始めたい人。2年後期に本郷に移る際は引越しが前提になりますが、1年半という期間を考えれば「1-2年は駒場で全力、3-4年は本郷」という使い分けは十分合理的です。

反面、2年後期の引越しは時期的にも費用的にも負担があります。後期の授業が本格化する10月頃に引越し作業が入るので、9月までに物件を決め、前期試験・夏休み明けの流れと両立させる必要がある。4年間通しで見るときの引越し1回分(敷金・礼金・仲介手数料・引越し代で30〜50万円)を覚悟しておく必要があります。


【中間戦略】本郷・駒場の両方に届くエリア

「1-2年も3-4年もそこそこ通いたい。引越しは避けたい」という場合、本郷と駒場の両方に1時間以内でアクセスできる中間エリアを選ぶ戦略があります。

渋谷・表参道

渋谷は駒場まで井の頭線で数駅、本郷まで銀座線→丸ノ内線で乗り換えあり。東大生の中間エリアとしては両方向にアクセスできるバランス型ですが、家賃水準は高めです。表参道は銀座線で本郷三丁目方面、井の頭線で駒場方面という二方向アクセスが可能。具体的な所要時間は駅探・各鉄道会社の公式情報で確認してください。

神楽坂・飯田橋

神楽坂・飯田橋は本郷へ東西線・大江戸線で5〜10分、駒場へは新宿経由で30分前後。本郷側に寄った中間エリアで、1R家賃は8〜11万円。老舗の飲食店や石畳の路地が残る独特の街並みで、東大生にも根強い人気があります。

六本木・麻布十番

六本木・麻布十番は本郷へ大江戸線直通で15分、駒場へは渋谷経由で20〜25分。1R家賃は10〜15万円と高額ですが、港区の生活を4年間楽しみたい層には選択肢になります。大江戸線は駅が地下深い路線なので、改札から地上までの移動時間も考慮する必要があります。

中間戦略が向いている人

「1-2年と3-4年で引越したくない」「都心の生活を4年間楽しみたい」「家賃を多めに出せる」という条件が揃う人。本郷・駒場のどちらにも徒歩通学はできないトレードオフはありますが、2拠点のどちらにも通えることで4年間通しの家賃総額では引越し1回分を吸収できる計算になることもあります。

反面、家賃相場が本郷・駒場より1〜3万円高いエリアが多く、年間の差額は12〜36万円。通学時間も片道30〜45分かかるため、朝の1限が続く学期は体力を使います。


3戦略の比較表

項目駒場→本郷(2拠点)本郷通し(4年間)中間(4年間)
1-2年の通学徒歩1分前後駒場側へ40分前後 (本郷側から丸ノ内線→銀座線→井の頭線)エリア次第
3-4年の通学本郷キャンパス徒歩圏 (引越し後)本郷キャンパス徒歩圏本郷側へ15〜30分前後
1R家賃水準駒場側→本郷側で上がる傾向本郷側のキャンパス徒歩圏で高め渋谷・神楽坂等の中間エリアは家賃水準高め
4年間の引越し回数1回 (2年秋以降)0回0回
研究室生活との相性3-4年は良い最良
サークル活動との相性1-2年は良い1-2年は通学負担両方そこそこ

具体的な家賃水準は SUUMO・HOME’S 等の最新掲載物件で、所要時間は駅探・各鉄道会社の公式運行情報で確認してください。


初期費用と2回引越しのコスト

月家賃の4〜6ヶ月分が初期費用として必要になるのが一般的な目安です(敷金・礼金・前家賃・仲介手数料・保証料・火災保険・鍵交換等)。家賃8万円なら32〜48万円、家賃10万円なら40〜60万円という規模感です。

項目金額目安
敷金家賃1〜2ヶ月分
礼金家賃0〜1ヶ月分
仲介手数料家賃0.5〜1ヶ月分
前家賃家賃1ヶ月分
火災保険・保証料2〜4万円

駒場→本郷の2拠点パターンで2年後期に引越す場合、2回目の初期費用と引越し代を合わせて30〜50万円が追加でかかります。一方、本郷通しで4年間を過ごせば引越しは1回で済み、駒場通しの人と比べて1-2年の家賃差は最大で月1万円×18ヶ月=18万円程度。単純計算では本郷通しの方がコストが低い場合もあります。院進して修士まで進むなら本郷通しの優位はさらに広がります。


東大生の住まい選びでありがちな後悔パターン

物件を決める前に、過去の東大生がぶつかった典型的な落とし穴を押さえておくと、入居後に後悔する確率を下げられます。

ひとつ目は、1限通学の負担を甘く見るパターンです。駒場・本郷ともキャンパス内に坂や階段があり、駅から正門までは平地でも、講義棟までの実測徒歩時間はGoogleマップ表示より2〜3分長くなることが多い。1限・2限が多い時期に物件を実際に歩いて確認するのが安全です。

ふたつ目は、院進ルートを考えずに学部4年だけで住居計画を立てるパターン。理学部・工学部・医学部・薬学部・農学部などは院進率が高く、修士まで進めば学部4年+修士2年=6年間、同じ研究室に在籍することが多くなります。学部時点で院進の可能性が高い見込みなら、本郷通しを基本線で検討するほうが長期的なコストパフォーマンスが良くなる傾向があります。

みっつ目は、駒場時代の友達のエリアに引きずられるパターンです。サークルの新入生説明会で「先輩はだいたい〇〇に住んでる」と聞いて自分も近隣を選ぶことがあります。しかし通学先・研究室配属先・進学希望は個人によって異なるため、住居判断は自分の進学希望と通学動線を起点に独立して決める方が後悔が少なくなります。

よっつ目は、東大前駅・本郷三丁目駅・駒場東大前駅の混同です。東京メトロ南北線の東大前駅、東京メトロ丸ノ内線と都営大江戸線の本郷三丁目駅、京王井の頭線の駒場東大前駅はいずれも東大関連の駅ですが、場所も路線も別物です。物件情報で「東大前駅徒歩○分」と表示されていても、自分が通うキャンパスへの最寄り駅と一致しているか必ず確認してください。

いつつ目は、賃貸契約直前の細かい費用見落としです。家賃・敷金・礼金・仲介手数料に加えて、保証会社加入料・火災保険・鍵交換費用が初期費用に含まれることが多く、住民票や収入証明などの書類提出も必要になります。さらに退去時には原状回復費用、契約期間中に更新料(2年に1回・家賃1ヶ月分が一般的)が発生するため、月家賃の4〜6ヶ月分を初期費用として準備しつつ、年間を通した総支出も契約前に見立てておくと安心です。

これらは個別の事情で軽重が変わりますが、東大という特殊な仕組み(進学選択・2キャンパス・院進率の高さ)を踏まえると、住居判断は学部4年だけでなく卒業後の進路まで見通したほうが安全です。


エリア選びの判断フロー

  1. 院進予定か、学部で就職か — 院進なら本郷通しが有力
  2. 進学希望の学部を想定する — 教養学部後期課程なら駒場、農学部なら弥生、医・理・工なら本郷
  3. 1-2年の通学を重視するか、3-4年を重視するか — サークル・バイト重視なら駒場、研究重視なら本郷
  4. 4年間の家賃総額と引越し費用を比較する — 中間エリアは家賃高だが引越し費用ゼロ
  5. 迷ったら駒場→本郷の2拠点パターン — 東大生の多数派。1-2年の駒場生活の体験価値は引越し費用に見合うことが多い

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参照元・注記

  • 家賃相場: SUUMO・HOME’S掲載物件(本郷三丁目・東大前・春日・後楽園・湯島・駒場東大前・池ノ上・下北沢・三軒茶屋・代々木上原・渋谷・神楽坂・六本木・麻布十番エリア、2026年4月調査)をもとに編集部が整理
  • 東京大学のキャンパス構成・進学選択制度: 東京大学 入学案内・後期進学選択(2026年4月閲覧)
  • 交通アクセス・所要時間: 東京メトロ・京王電鉄・都営地下鉄の各路線情報(2026年4月時点)
  • スーパー・飲食店・キャンパス情報: Googleマップ掲載情報および編集部による現地調査(2026年4月)
  • 初期費用の項目・金額帯: 宅地建物取引業法に定める費用項目をもとに編集部が整理
  • 掲載家賃・初期費用は参考値です。実際の家賃・引越し費用は物件の条件・空き状況・時期・運賃改定によって異なります

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