大学の長期休みに実家へ帰省する。2週間、長ければ1ヶ月以上も部屋を空けることになります。出発前に「ゴミ出して鍵閉めればいいでしょ」くらいの感覚で出かけると、帰ってきたときに冷蔵庫の中が異臭を放っていたり、排水口からコバエが湧いていたり、郵便受けがチラシで溢れていたりと散々な目に遭います。

実家にいた頃は気にもしなかったことが、一人暮らしでは全部自分の仕事です。この記事では、夏休み・冬休み・春休みの帰省で長期間部屋を空ける前にやっておくこと、留守中に起きがちなトラブルの防ぎ方、帰ってきたあとの立ち上げ作業をまとめています。

この記事でわかること

  • 出発3日前から当日までのチェックリスト(冷蔵庫・ゴミ・水回り・コンセント)
  • 長期不在中に発生しやすいカビ・虫・排水トラップの臭い対策
  • 電気・ガス・水道は止めるべきか — 基本は契約維持でOK
  • 帰省の交通費を抑える方法(学割・早割・夜行バス比較テーブル付き)
  • 帰宅後にやることリスト — 換気・通水・冷蔵庫の順番

出発前チェックリスト — 3日前から当日まで

帰省の準備は出発当日だけでは間に合いません。冷蔵庫の食材を使い切るには数日かかるし、ゴミ出しのスケジュールも曜日が決まっています。3日前から少しずつ片付けていくのが現実的です。

冷蔵庫の中身を処理する

出発の3日前から冷蔵庫の在庫を使い切るつもりで献立を組みます。野菜や肉が残っているなら炒めものやカレーにして食べてしまう。調味料(醤油・味噌・マヨネーズなど)はそのまま冷蔵庫に入れておいて問題ありません。

腐りやすいものは牛乳、卵、生鮮野菜、開封済みの豆腐やパック惣菜。これらを放置して1ヶ月経つと、冷蔵庫の中が腐敗臭で手がつけられなくなります。「もったいない」より「帰ってきたときの地獄」のほうが高くつくので、食べきれない分は出発前に処分してください。

冷凍庫に入っているものは長期不在でもそのままで大丈夫です。ただし、ブレーカーを落とす場合は冷凍庫も止まるので要注意(ブレーカーの扱いは後述します)。

ゴミを出す

帰省前最後の収集日に合わせてゴミを出し切ります。特に生ゴミは絶対に部屋に残さないこと。夏場に生ゴミを1週間放置するとコバエが大量発生し、帰宅時に部屋が虫だらけという事態になりかねません。

収集日が合わなくて出し切れない場合は、二重にビニール袋で密封し、冷凍庫に入れておくという手もあります。見た目はよくないですが、臭い・虫の発生は確実に防げます。

水回りを掃除する

キッチンのシンク、風呂場、洗面台の排水口を掃除し、ヌメリや食べかすを取り除いておきます。水回りに汚れが残った状態で長期間放置すると、カビが根を張って帰宅後に落とすのが大変です。

排水トラップ(排水口の下にある水が溜まるU字型の部分)には水を満たしておきます。排水トラップの水は下水管からの臭いや虫の侵入を防ぐ「蓋」の役割をしていて、長期不在で蒸発すると下水の悪臭が部屋に充満します。出発直前にキッチンと風呂場の排水口にコップ1杯ずつ水を流しておけば十分です。

コンセントを抜く・待機電力を止める

テレビ、電子レンジ、炊飯器、ドライヤーなどのコンセントはすべて抜いておきます。理由は2つ。ひとつは待機電力の節約(微々たる額ですが)、もうひとつは落雷によるショートや漏電のリスク回避です。

抜かなくていいもの: 冷蔵庫(中身を空にしてブレーカーを落とす場合を除く)、ルーター(帰宅直後にWi-Fiを使いたいなら)。エアコンは必ずコンセントから抜いてください。室外機に雷が落ちると室内機も壊れることがあります。

洗濯物をゼロにする

洗濯カゴに汚れた衣類を放置して帰省すると、湿気で雑菌が繁殖してカビの温床になります。出発前にすべて洗って干すか、乾燥機にかけておくこと。「帰ってきてからやろう」は禁物です。

カーテンを閉める

遮光カーテンを閉めておきます。防犯上の理由(外から不在がわかりにくくなる)に加え、日焼けによる床や家具の劣化防止にもなります。ただし完全に閉め切ると通気が悪くなるので、レースカーテンだけ残して厚手のカーテンを閉める形でも構いません。

郵便物の対策

郵便受けにチラシや郵便物が溜まると「この部屋は長期不在」と外からわかってしまい、防犯上よくありません。以下の対策を組み合わせてください。

郵便局の「不在届」を出すと、届出期間中(最長30日間)の郵便物を局で保管してもらえます。提出は配達担当郵便局または最寄り郵便局の窓口で、用紙は局で受け取るか日本郵便のサイトでダウンロードして記入します(ネット完結の手続きには対応していません)。30日を超える場合や帰省先で郵便物を受け取りたい場合は、e転居や転居届で実家あての転送を申し込む方法もあります。

新聞を取っている場合は配達停止の連絡を忘れずに。宅配便の受け取り予定がないかも出発前に確認しておきます。

長期不在で起きるトラブルと防ぎ方

カビ

締め切った部屋は湿気がこもります。特に梅雨〜夏の帰省時期は要注意で、押し入れやクローゼットの中、風呂場のタイル目地、窓のゴムパッキンにカビが生えやすくなります。

対策としては、各部屋のドアやクローゼットの扉を少し開けた状態にしておくこと。空気が動くだけでカビのリスクは下がります。風呂場はドアを開放し、換気扇を回しっぱなしにしておくのがベストです(換気扇の電気代は24時間つけっぱなしでも月100〜300円程度です。ブレーカーを落とさない前提で)。

夏場のゴキブリ・コバエが代表格です。食べ残しや生ゴミがあれば確実に寄ってきます。ゴミを完全に処理したうえで、排水口にゴミ受けネットを被せる、シンク下の収納を開けて乾燥させるなどの処置をしておきます。

心配なら出発前に「くん煙剤」(バルサンなど)を焚いて帰省するのも手です。帰宅後に換気すれば問題ありません。

排水トラップの乾燥

前述のとおり、排水トラップの水が蒸発すると下水の臭いが逆流してきます。キッチン・風呂場・洗面台・洗濯機置き場の4箇所すべてに水を流してから出発してください。見落としがちなのが洗濯機の排水口で、洗濯機をどかさなくても蛇口から水を出してホースに流し込めば排水トラップまで到達します。

電気・ガス・水道は止めるべきか

結論から言うと、2週間〜1ヶ月程度の帰省であれば、電気・ガス・水道ともに契約は維持したまま、個別にできる節約をするのが合理的です。

ライフライン判断理由
電気契約維持(ブレーカーは落とさない)冷蔵庫・換気扇・Wi-Fiルーターの維持に必要。冬場にブレーカーを落とすと給湯器の凍結防止ヒーターが停止し、水道管が凍結破裂するリスクがある
ガス元栓を閉めて契約維持使わないので元栓を閉めておけば安全。解約・再開約の手間と立ち合い日程調整を考えると、1ヶ月以内なら契約維持のほうが楽
水道契約維持(元栓は閉めない)水道を止めると排水トラップが補充できず、配管の劣化リスクも上がる。基本料金は月1,000〜2,000円程度

電気の基本料金は契約アンペアによりますが、一人暮らしの20〜30Aなら月623円50銭〜935円25銭ほど(東京電力エナジーパートナー、従量電灯B、2026年4月時点)。コンセントを抜いて待機電力をカットすれば、不在中の電気代は基本料金+換気扇程度で1,000〜1,300円前後に収まります。

冬場にブレーカーを落とすのは特に危険です。給湯器には外気温が下がると自動で作動する凍結防止ヒーターが付いていて、ブレーカーを落とすとこのヒーターが止まります。水道管が凍結して破裂すると、修理費用は数万円〜数十万円。賃貸の場合、入居者の管理不備として自己負担になるケースもあります。

帰省の交通費を抑える

帰省のたびに往復の交通費がかかります。東京〜大阪で新幹線を使うと片道約14,000円、往復で28,000円。年に3回帰省すれば交通費だけで8万円を超えます。使える割引と移動手段を比較して、自分に合った方法を選んでください。

学割(JR)

JRの学割は、片道101km以上の乗車券が2割引になる制度です。大学の学生課(または証明書発行機)で「学割証」を発行してもらい、JRの窓口できっぷを購入します。

注意点として、2割引になるのは乗車券(運賃)のみで、新幹線の特急券は割引対象外です。そのため新幹線利用時の実質的な割引率は総額の12〜13%程度になります。東京〜新大阪の場合、通常14,720円(乗車券8,910円+のぞみ指定席特急券5,810円)が学割で約12,930円に。片道で約1,800円、往復で約3,600円の節約です。

なお、JRグループは2026年3月13日発売分をもって往復乗車券および往復割引乗車券を廃止しました(2026年3月14日以降は片道乗車券を2枚購入する形)。これまで「片道601km以上は往復割引(1割引)+学割(2割引)で実質28%引き」と紹介されてきた手法は使えなくなっています。長距離区間でも学割は単独で2割引が使えるので、東京〜博多や東京〜仙台でも学割証は引き続き持っていく価値があります。

交通手段の比較

東京〜大阪間を例に、主な移動手段の価格帯をまとめます。

手段片道の目安所要時間メリットデメリット
新幹線(のぞみ・通常)約14,720円約2時間30分速い・快適高い
新幹線(学割適用)約12,930円約2時間30分JR学割で約13%オフ学割証の事前取得が必要
新幹線(ぷらっとこだま)11,360〜11,710円約3時間50分こだま限定で割安時間がかかる・指定列車のみ
高速バス(4列シート)3,000〜6,000円約7〜9時間圧倒的に安い長時間・体力消耗
高速バス(3列独立)5,000〜9,000円約7〜9時間4列より快適繁忙期は値段が上がる
LCC(成田〜関空など)4,000〜8,000円約1時間35〜50分(+空港アクセス)安い・早い空港アクセスに時間とコスト

高速バスは早めに予約するほど安くなります。1ヶ月前の予約で3,000円台、直前だと6,000〜8,000円になることも珍しくない。楽天トラベルやバス比較なびで日程を入れて検索すると、複数のバス会社の料金を一覧で比較できます。

夜行バスの学割は運行会社によって対応が異なります。WILLERトラベルやJRバスなど一部の会社は学割プランを用意していますが、多くの格安バス会社では学割の設定がなく、代わりに早割のほうが安くなるケースが大半です。学割と早割の併用ができるかどうかは各社で違うので、予約時に確認してください。

帰省の回数が年3回以上ある人は、交通費だけで年間5万〜10万円になります。大学生の生活費の内訳でも触れていますが、交通費は仕送りの中から捻出している人が多く、移動手段の選び方で年間数万円の差が出ます。

防犯対策

帰省中の長期不在で最も避けたいのが空き巣被害です。防犯対策の記事で詳しく書いていますが、ここでは帰省前に特にやっておくことを絞ってまとめます。

ポストに郵便物やチラシが溜まっている状態は「留守です」と宣伝しているようなものです。郵便局の不在届は必ず出してください。

タイマー付きのスマートプラグ(Amazon等で1,000〜1,500円程度)を使って、夜の時間帯だけ室内の照明を自動で点灯させる方法があります。人がいる気配を作れるので、長期不在の防犯には効果的です。

カーテンを完全に開けっぱなしにしない。中が見えると不在の判断材料になります。逆にカーテンが閉まりっぱなしでも不在のサインになるので、レースカーテンを閉めたうえで厚手のカーテンは半分だけ閉めるくらいがちょうどいいバランスです。

管理会社や大家さんに「〇月〇日〜〇月〇日まで帰省で不在にします」と連絡しておくのも忘れずに。緊急時(水漏れ・火災など)に連絡が取れる状態にしておくことが大切です。

帰ってきたらやること

帰宅後は「荷物を置いて寝る」前に、いくつかやっておくと翌日以降が楽になります。

まず窓を開けて換気します。締め切っていた部屋は空気がよどんでいるので、15〜30分ほど窓を開け放しにしてください。夏場はエアコンをつける前に換気しないと、こもった熱気と湿気がエアコン内部に吸い込まれてカビの原因になります。

キッチン・風呂場・洗面台の水道を1〜2分出しっぱなしにします。排水トラップの水を新鮮なものに入れ替えるのと、長期間使っていなかった配管内の水を流す意味があります。最初に出てくる水は配管内に滞留していたものなので、飲用には使わないでください。

冷蔵庫を空にして出発した場合は、帰宅後に電源を入れて冷えるまで2〜3時間かかります。買い物に行く前にまず電源を入れておくのがポイントです。

出発前・帰宅後チェックリスト

印刷やスクリーンショットで保存して使ってください。

タイミングやること補足
3日前冷蔵庫の在庫を使い切る計画を立てる生鮮食品を優先的に消費
3日前郵便局に不在届を提出配達担当または最寄り局の窓口。最長30日
前日最後のゴミ出し生ゴミは出発日の朝までに
前日洗濯物をすべて洗う汚れ物を放置しない
当日キッチン・風呂場・洗面台を掃除排水口のヌメリ除去
当日全排水口に水を流すコップ1杯ずつでOK
当日コンセントを抜く(冷蔵庫・ルーター以外)エアコンは必ず抜く
当日ガスの元栓を閉めるコンロ横のレバー
当日カーテンを閉めるレースカーテンは残してもOK
当日戸締り確認(窓・ドア・ベランダ)ベランダの窓も忘れず
当日管理会社に帰省連絡不在期間と緊急連絡先
帰宅後窓を開けて換気(15〜30分)エアコン前に必ず
帰宅後全蛇口から1〜2分通水最初の水は飲まない
帰宅後冷蔵庫の電源を入れる冷えるまで2〜3時間
帰宅後室内に異常がないか確認水漏れ・カビ・虫
帰宅後郵便物の確認不在届の期間終了を確認

ひとつひとつは小さな作業ですが、これをやるかやらないかで帰宅後の快適さがまるで違います。特に排水トラップへの注水とゴミの処理は、忘れると帰ってきた瞬間に後悔するポイントです。慣れてくれば帰省前の片付けは30分〜1時間で終わるので、出発日の朝にまとめてやるルーティンにしてしまうのがおすすめです。


数値の参照元

  • JR学割の割引率(乗車券2割引)および適用条件(片道101km以上): JR東日本・JR東海の各公式サイト掲載情報(2026年4月閲覧)をもとに編集部が整理
  • 往復乗車券・往復割引乗車券の廃止(2026年3月13日発売分まで): JRグループ公式リリース「往復乗車券および往復割引乗車券の発売終了について」(2026年4月閲覧)
  • 東京〜新大阪の新幹線通常料金(14,720円)および学割適用後料金(12,930円): JR東海公式サイト、運賃8,910円+のぞみ指定席特急料金5,810円ベース(2026年4月閲覧)をもとに編集部が算出
  • ぷらっとこだま料金(11,360〜11,710円): JR東海ツアーズ公式(2026年4月閲覧)をもとに編集部が整理
  • LCC成田〜関空所要時間(1時間35〜50分): ジェットスター・ジャパン 2026年3月29日〜10月24日 国内線時刻表をもとに編集部が整理
  • 高速バスの価格帯(東京〜大阪間3,000〜9,000円): バス比較なび・楽天トラベル掲載料金(2026年4月閲覧)をもとに編集部が整理
  • 電気の基本料金(20A: 623円50銭、30A: 935円25銭): 東京電力エナジーパートナー「従量電灯B」料金表(2026年4月閲覧)をもとに編集部が整理
  • 換気扇の電気代(月100〜300円程度): 換気扇の消費電力(3〜20W)と電力料金目安単価(31円/kWh、2022年公表)から編集部が算出
  • 水道の基本料金(月1,000〜2,000円程度): 東京都水道局の基本料金表(2026年4月閲覧)をもとに編集部が整理
  • 給湯器の凍結リスクおよび修理費用: 各ガス会社(東京ガス・北ガス等)の公式Q&A掲載情報をもとに編集部が整理
  • 排水トラップの蒸発目安(夏場2〜3週間): 住宅設備メーカーの技術資料および不動産管理会社のFAQ掲載情報をもとに編集部が整理
  • 掲載数値は参考値です。実際の料金・価格は契約プラン・時期・利用条件によって異なります