「TOEICっていつから対策すればいいの」という質問に、明確な答えを持っている人は少ないです。大学1年生でいきなり900点を取る人もいれば、4年生になって就活が始まってから慌てて600点台で足踏みする人もいる。ここでは大学生のTOEIC対策を学年別に並べて、いつ・どの参考書で・どの水準を目指すかを整理してみます。
この記事でわかること
- TOEIC L&Rは990点満点、2026年度はほぼ毎月・年18試験日で実施。受験料は紙の公式認定証希望ありで7,810円、希望なしで7,700円
- 1年500点、2年600点、3年700点、4年730点以上が学年別の目安
- 就活でTOEICが重視されるかは業界・企業による(IIBC公式は活用例を示すが、ES通過率や足切り基準は公的に一般化された数字ではない)
- 学内IPテストは公開テストと同じスコア基準で測れるが、公式認定証は出ないので履歴書記載が必要なら公開テストを受ける
- 受験は授業の少ない長期休暇前後がおすすめ
TOEICの基本を押さえる
TOEICという単語は聞いたことがあっても、制度の細部までわかっている大学生は意外に少ないです。就活や留学で使われるのはTOEIC Listening & Reading Test(L&R)で、リスニング100問(45分)+リーディング100問(75分)の合計200問・120分のテストです。満点は990点、合格不合格の区分はなく、スコアだけが返ってきます。
公開テストはほぼ毎月実施され、IIBC公式の2026年度日程は18試験日(午前・午後の枠を含むため試験回数はさらに増える)。東京・大阪・名古屋・福岡など全国の主要会場で受けられます。受験料は紙の公式認定証を希望する場合は7,810円、希望しない場合は7,700円(2026年5月時点)。申込は実施団体である国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)の公式サイトから行い、締切は試験日の約1.5ヶ月前です。
スコアは受験後およそ17日後にインターネットで公開され、デジタル公式認定証(Official Score Certificate)は約19日後に発行、紙の公式認定証は希望者にのみ約30日後に発送されます。履歴書やエントリーシートに書く正式スコアは、これらの公式認定証に記載された数字です。
学年別スコア目標
学年ごとに目指したい水準を整理します。数字はあくまで目安なので、志望業界や個人の英語力によって前後します。
| 学年 | 目標スコア | 意味合い |
|---|---|---|
| 1年生 | 500点 | 大学生の平均水準。基礎が身についているライン |
| 2年生 | 600点 | 履歴書に書きやすくなる水準 |
| 3年生 | 700点 | 就活で語学要素として扱いやすい水準 |
| 4年生 | 730点以上 | 一部の業界・企業で評価が上がるとされる水準 |
| 上位層 | 900点以上 | 外資・商社・グローバル企業で差別化されやすい水準 |
IIBC「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2025」(2024年度集計)では、TOEIC L&R公開テスト全体の平均スコアは615点、学生平均は592点。IPテストでは大学生平均が471点と別系統で集計されています。本記事の学年別目標は編集部目安として読み、公式平均と比べる場合は学生区分に注意してください。
就活でのTOEIC重要度
就活でTOEICがどれくらい見られるかは、業界・職種によって大きく違います。
金融・商社・コンサル・メーカーのグローバル部門では730点が応募・選考の一つの目安として扱われることがあります(IIBC公式は具体的な企業活用例として一部を紹介しており、ES通過率や足切り基準は公的に一般化された数字ではありません)。800点・900点と上がるほど「語学力のあるアピール材料」として扱いやすくなりますが、最終評価は他のガクチカや適性検査、面接で総合判断されます。志望する企業の採用要件で具体的に提示されていない限り、特定のスコア=合格保証ではない点に注意します。
一方、国内中心のBtoB企業・中小企業・ITベンチャーでは、TOEICスコアはそれほど重視されないケースも多い。600点台でも他の要素(ガクチカ・インターン経験・技術スキル)で十分勝負できます。志望業界の採用ページや過去の選考体験記を見て、どの水準が求められているかを確認するのが現実的です。
スコアの書き方もポイントです。ESや履歴書に書くときは「TOEIC L&R 800点(2025年〇月取得)」のように、取得時期まで書くのが基本。有効期限は公式には2年とされており、2年以上前のスコアは避けたほうが無難です。
1〜2年生 — 基礎固めとリスニング強化
大学1〜2年生のうちは、受験英語のアドバンテージが残っている時期です。センター試験や共通テストで鍛えた文法・語彙の貯金があるうちに600点の壁を越えておくと、3年生で一気に700〜800点台に伸ばしやすくなります。
この時期に取り組みたいのは3つ。単語帳・リスニング・公式問題集です。
単語帳は「TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ」(通称・金フレ、朝日新聞出版)が定番です。TOEIC頻出の1,000語を収録していて、例文も短くスキマ時間に回しやすい。600点を目指すなら前半600語、800点を目指すなら全1,000語を覚えきる、という使い方が基本です。1日30分を2〜3ヶ月続けると、だいたい1周できます。
リスニングは受験英語ではカバーしきれない領域で、多くの大学生がここでつまずきます。アプリでいうとabceed(エービーシード)とスタディサプリENGLISH TOEIC対策コースが定番。abceedは問題集ベースで自分のペースで進められ、スタディサプリは動画講義と演習がセットになっているので継続しやすい。月額はabceed・スタディサプリで2,000〜3,300円前後、Santaアルクはコースにより3ヶ月19,800円〜(月額換算6,600円〜)とアプリごとに価格帯が大きく異なります(2026年5月時点・大学単位の受講支援や個別キャンペーンは別途)。
公式問題集は「公式TOEIC Listening & Reading 問題集」(IIBC、現在10冊以上刊行)が最重要教材です。本番と同じ形式・難易度の問題が2セット収録されており、1冊やり込むと本番の感覚が掴めます。1〜2年生の段階では、まず最新の2〜3冊を解いておけば十分です。
3年生 — 模試演習と時間配分の習得
3年生になると、就活で使える本格的なスコアを狙うフェーズに入ります。目標は700点、可能なら800点。この段階で重要なのは、知識を増やすことよりも時間配分と解くスピードです。
TOEICは120分で200問を解くテストで、リーディングパート75分で100問(1問あたり45秒)という、かなりタイトな時間制限があります。多くの受験者がパート7(長文読解)を時間切れで解き切れず、塗り絵(適当にマーク)で終えてしまう。時間配分の対策は、模試を週1回ペースで解きながら「どのパートに何分使うか」を体に染み込ませることです。
| パート | 内容 | 目安時間 |
|---|---|---|
| Part 1 | 写真描写 | 6問・6分 |
| Part 2 | 応答問題 | 25問・10分 |
| Part 3 | 会話問題 | 39問・17分 |
| Part 4 | 説明文 | 30問・12分 |
| Part 5 | 短文穴埋め | 30問・10分 |
| Part 6 | 長文穴埋め | 16問・8分 |
| Part 7 | 長文読解 | 54問・55分 |
リスニングパートは音声が流れる時間が決まっているので時間配分は不要ですが、リーディングパートは自分で時間管理する必要があります。Part 5は10分、Part 6は8分、残り55分をPart 7に回す、というのが典型的な戦略です。
この時期に学内IPテストがあれば受けておく価値があります。IPテストは団体特別受験制度と呼ばれ、大学が実施団体に申し込んで学内で受けられる形式。受験料は大学負担または3,000円前後と安く、現状のスコア確認に使えます。IIBC公式は『公開テストとIPテストの結果(スコア)の意味は同じ』と説明しており、IPテスト結果でも学内手続きや単位認定で活用できますが、公式認定証は発行されないため『公式認定証が必要な手続き(履歴書記載等)では公開テストが必要』と案内されています。
受験時期の選び方
TOEICを受けるタイミングは、個人のスケジュールに合わせて決めます。大学生にとって受験しやすいのは、授業が少ない長期休暇前後です。
春休み直後の3〜4月、夏休み直後の9月、冬休み直後の1〜2月は、まとまった勉強時間を確保しやすい時期。長期休暇中に集中して対策を進めて、その勢いで受験する流れがおすすめです。逆に試験期間中やレポート提出期のピーク(7月、12月、1月後半)は避けたほうが無難。勉強時間が確保できず中途半端なスコアで終わる可能性が高くなります。
就活で使うスコアを取る逆算でいうと、3年生の1〜2月までには目標スコアを取り終えているのが理想です。3年生3月から会社説明会・ES提出が本格化するため、それまでに公式認定証を手元に持っておけば、ESに書くスコアに迷いません。
再受験の頻度は、詰め込みすぎない範囲で2〜3ヶ月に1回が目安。スコアが伸びない期間(2〜3ヶ月)を受け入れて、勉強→受験→振り返り→勉強のサイクルを回すのが王道です。毎月受験しても勉強時間が足りなければスコアは伸びません。
対策方法 — 参考書・アプリ・オンライン英会話
TOEIC対策で使える教材は大きく3ジャンルあります。参考書・アプリ・オンライン英会話です。
参考書は前述の金フレ・公式問題集に加えて、「TOEIC L&R TEST 文法問題 でる1000問」(通称・でる1000、アスク出版)がPart 5・6対策の決定版です。文法問題を徹底的に鍛えたい人向けで、1,000問の問題と詳細な解説が入っています。900点を目指す層なら「TOEIC L&R TEST 究極のゼミ」シリーズ(アルク)も定番です。
アプリではabceed、スタディサプリENGLISH TOEIC対策コース、Santaアルクが人気です。abceedは問題集の電子版+AI分析でスコア予測が出る。スタディサプリは関正生講師の動画が評判で、苦手パートを動画で学び直せる。SantaはAIが苦手を自動分析して問題を出す形式。料金体系はサービスごとに異なり、abceed・スタディサプリは月額2,000〜3,300円前後、Santaアルクは3ヶ月19,800円・6ヶ月49,800円などのパック販売(月額換算6,600〜8,300円前後)が中心です。各社公式で最新プランを確認してください。
オンライン英会話は、スピーキング力を鍛えながらリスニング・会話慣れも進められる選択肢です。DMM英会話・レアジョブ・ネイティブキャンプなどが定番で、月額6,000〜10,000円前後。TOEICスコア自体の対策というよりは、「英語に触れる時間を増やす」手段として有効。毎日25分話すだけでもリスニング力の底上げになります。
継続性を考えると、教材を増やしすぎないのがコツです。金フレ1冊+公式問題集2〜3冊+アプリ1つ、くらいの構成で半年続けるほうが、10冊買い込んで3日坊主になるより結果が出ます。
学内IPテスト vs 公開テスト
大学生が受けるTOEICには2種類あります。大学が団体として実施するIPテストと、IIBCが一般公開する公開テストです。それぞれメリット・デメリットがあります。
IPテストは大学内で受験でき、受験料が3,000円前後と安い(大学負担で無料のケースも)。試験日も大学のスケジュールに合わせて設定されるので、週末の公開テストより予定を合わせやすい。出題は公開テストの過去回から再構成された問題が使われ、スコア自体はIIBC公式により『公開テストと同じ意味を持つ』と案内されています。
公開テスト(受験料7,700〜7,810円)は、公式認定証(デジタル+希望者には紙)が発行されるのが最大の違いです。履歴書・ES等で公式認定証の提示や記載を求められるケースでは、公開テストの受験が必要になります。一部の企業はIPテスト結果を選考時に提出させる事例も公式に紹介されていますが、公式認定証が前提の場面では必ず公開テストを受けます。
使い分けの基本は、IPテストで現状確認+公開テストで本番勝負です。学期中にIPテストが実施されたら練習として受けておき、夏休み・春休みの長期休暇後に公開テストで本番スコアを取る流れが現実的です。
リスニング・リーディングのコツ
最後に、多くの大学生がつまずくポイントに対する具体的な対策を置いておきます。
リスニングで点が取れない原因は、音声が早く感じるという表面的な症状のことが多いですが、実際には英語を英語のまま理解する処理ができていない場合が大半です。日本語に訳しながら聞いているうちに次の文に進んでしまう。対策はシンプルで、公式問題集の音声をディクテーション(書き取り)で1週間やってみる。そうするとどの単語が聞き取れていないかが可視化されます。
さらにシャドーイング(音声を聞きながら0.5秒遅れで発声)を2週間続けると、音声を追う感覚が変わります。最初は公式問題集のPart 3・4で、スクリプトを見ながら音読→スクリプトなしでシャドーイング、という順番でやると取り組みやすいです。
リーディングで時間切れになる原因は、前から順番に読んで意味を取るクセが抜けないことです。TOEIC Part 7の長文は、最初に設問を読み、答えに必要な箇所だけを本文から探す、というスキャニング戦略が基本。公式問題集で設問→本文の往復を練習しておくと、本番で時間が足りなくなる確率が下がります。
Part 5・6の文法問題は、1問20秒以内で解くのが目標です。考え込んだら負け。品詞問題・動詞の形・前置詞選択など、パターンで解ける問題が多いので、「でる1000」でパターンを叩き込んでおけば本番で迷いません。
TOEIC対策は、大学生の自由時間(特に長期休暇)を使えば十分に成果が出る取り組みです。1〜2年生のうちに600点、3年生で700〜800点、4年生で就活に使う、という時系列を押さえておけば、就活が本格化してから慌てることもなくなります。
就活で別の地域への配属が決まった場合は、配属先への引越し準備もあわせて確認しておくと、卒業前の動きがスムーズになります。
数値の参照元
- TOEIC L&Rの形式・受験料・実施回数: 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)「TOEIC公式ガイド」(2026年4月閲覧)
- TOEIC受験者の平均スコア: 国際ビジネスコミュニケーション協会「2024年度 TOEIC Program Data & Analysis」(2026年4月閲覧)
- 学内IPテストの制度・受験料: 国際ビジネスコミュニケーション協会「団体特別受験制度(IPテスト)」公式情報および各大学のIP制度公開情報(2026年4月閲覧)
- 参考書・アプリの情報: 各出版社・サービス提供会社の公式サイト(2026年4月閲覧)をもとに編集部が整理
- 就活でのTOEICスコア水準・業界別の重視度: 編集部ヒアリング(2026年4月時点)および各業界の新卒採用ページ公開情報
- 掲載情報は2026年4月時点の参考値です。受験料・試験日程・教材価格は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトで確認してください