多摩センターに住む前のイメージは「サンリオピューロランドがある駅」くらいのものでした。東京とはいえ都心から電車で40分以上かかるし、多摩ニュータウンという名前からは郊外の団地が浮かぶ。正直なところ、あまり期待せずに部屋を決めました。
住んでみると、事前のイメージとのギャップに何度も驚かされます。良い意味でも悪い意味でも。広い空、整備された歩道、公園の芝生——都心にはない開放感がある一方で、終電の早さや「夜の選択肢のなさ」には最初の数ヶ月苦労しました。
この記事でわかること
- 多摩中央公園の存在感は住んでから変わった
- モノレール通学は「座れるかどうか」が勝負
- 夜22時以降の多摩センターの静けさに慣れるまで
- 都心へ出る「距離感」の正直な話
多摩中央公園は生活の一部になる
多摩センターに住んで最初に「ここ良いな」と感じた場所が多摩中央公園です。
駅から徒歩5分ほどの場所にある約11ヘクタールの都市公園で、大きな池と芝生広場が広がっています。2025年4月にリニューアルオープンしたばかりで、新しい遊具広場やカフェが整備されました。
44APARTMENT多摩センター店は公園内の大芝生広場に面したカフェレストランで、「街のセカンドリビング」をコンセプトにしている。テラス席で芝生と空を眺めながらコーヒーを飲む朝は、都心では絶対にできない体験です。モーニングメニューもあるので、1限がない日に朝食を兼ねて行くことがあります。
もう1軒、レンガ坂沿いにbalder coffee tama(バルダー コーヒー タマ)というフラワー&ベーカリーカフェがオープンしていて、多摩市立中央図書館の隣に位置しています。パンとコーヒーの組み合わせで600〜800円ほど。図書館で本を借りて、隣のカフェで読む——この動線は多摩センターに住む学生の特権です。
公園の芝生広場は平日の午前中なら人がまばらで、レジャーシートを敷いて教科書を読んでも周囲を気にしなくていい。高田馬場の戸山公園とは比べものにならない広さがある。天気のいい日は、部屋の机より芝生の上の方が集中できたりします。
モノレール通学の実態
中央大学多摩キャンパスへは、多摩センター駅から多摩モノレールで松が谷・大塚帝京大学を経由し、中央大学・明星大学駅まで約6分(公式駅順)。駅はキャンパス直結なので、モノレールを降りたらすぐに大学の敷地内に入れます。
ここまでは調べればわかる情報。住んでから気づいたのは以下のこと。
多摩モノレールは朝のラッシュ時に混みます。多摩センター駅は南の終着駅で、北の上北台駅との間を行き来する路線(2026年4月時点・多摩モノレール公式)。折り返し本数次第で座れるかどうかが変わり、8時台は立ちっぱなしになることもある。中央大学・明星大学駅までは松が谷・大塚帝京大学を経由して6分なので、立っていても短時間で着きます。
キャンパス内の移動が意外と長い。モノレールの駅を降りてから教室のある建物まで、白門プロムナード(ペデストリアンデッキ)を使えばほぼ平面移動ですが、端の建物までは10〜15分かかることがあります。東京ドーム11個分の広さがある敷地を歩くので、教室間の移動にも時間がかかる。時間割を組むときに「移動時間」を計算に入れておかないと、間に合わなくなることがあります。
雨の日のモノレール駅前は傘の渋滞が起きる。屋根のある通路は途中で切れる場所があるので、折りたたみ傘は常時カバンに入れておいた方がいい。
駅前の商業施設で日常を回す
日用品と食材の買い物は、駅前の商業施設群でほぼ完結します。京王ストア多摩センター店(京王多摩センターSC内・10:00〜23:00公式)は駅直結で、授業後やサークル後の買い足しに便利。閉店間際の値引き惣菜が並びやすい時間帯を覚えると食費が下がります。
ココリア多摩センター(落合1-46-1)は駅前の商業施設で、5階に丸善多摩センター店が入り、ユニクロや無印良品なども揃います。服や雑貨で困ることはない。B1のフードコートと6Fのレストラン街では、600〜900円台で食べられる店が並んでいます。
100円ショップや化粧品はイコット多摩センター2階のダイソーが定番。映画は丘の上パティオ2階のイオンシネマ。サイゼリヤや喫茶店はマグレブEASTに集約されているので、駅周辺を一周すれば日常の用事はおおむね片付きます。
コンビニは駅周辺に数店舗あり、24時間対応できます。ただし深夜帯に営業している飲食店はほとんどない。23時以降にお腹が空いたら、コンビニかカップ麺か冷凍食品という選択肢になります。高田馬場や御茶ノ水と比べると、ここが多摩センターの一番の不便さです。
夜22時以降の静けさ
多摩センターの夜は、驚くほど静かです。
駅前のペデストリアンデッキ(パルテノン大通り)は、昼間は買い物客やファミリーで賑わっていますが、20時を過ぎると人が減り始め、22時にはほぼ無人になる。飲食店も21〜22時に閉まる店が多く、「2次会に行こう」と思っても行く場所がない。
飲み会はだいたい多摩センターか立川で開かれますが、多摩センターの居酒屋は22時〜23時に閉まるので、立川まで出ることが多くなります。立川は多摩モノレール直通で立川南まで22分(2026年4月時点・公式所要時間)、乗り換えなしで行けます。
この静けさを「物足りない」と感じるか「ありがたい」と感じるかは、生活スタイルによります。夜型で深夜まで外で過ごしたい人には正直向いていません。一方、授業が終わったら家で過ごす・早めに寝る生活をする人には、夜の静けさは集中環境としては最高です。
多摩ニュータウンは元々ファミリー向けに開発された街なので、繁華街という繁華街がない。それが治安の良さにも直結していて、夜遅くに一人で歩いていても不安を感じたことはありません。
都心へ出るときの距離感
「多摩センターから新宿まで何分?」——この質問の答えは「30〜40分」です。
京王相模原線の特急に乗れば新宿まで約35分。ただし、特急は日中30分に1本ほどで、タイミングが合わないと各駅停車で50分近くかかることもある。小田急多摩線を使って小田急経由で新宿に出るルートもありますが、時間は同程度。
京王公式の新宿-京王多摩センター運賃はIC356円(片道)で、往復約712円。授業の合間に気軽に新宿へ出るというより、用事をまとめて出かける距離感です。渋谷や池袋となるとさらに乗り換えが増えて、片道1時間弱になります。
就活が始まると、この距離感はじわじわ効いてきます。都心での面接やOB訪問のたびに往復2時間と交通費がかかる。3年生以降は「あのとき都心寄りに住んでおけば」と思う瞬間が来るかもしれません。ただし中央大学は2023年に法学部を茗荷谷キャンパスに移転しており、多摩キャンパスに通う学部の学生はその前提で生活を組み立てた方がいい。
逆に、毎日の生活の中で都心に出る必要がなければ、この距離はデメリットにならない。キャンパスの中にほぼすべてが揃っているのが中央大学多摩キャンパスの特徴で、図書館、食堂、コンビニ、ATM、書店、生協——授業のある日はキャンパスの外に出なくても1日が完結します。
季節で変わる多摩の空気
多摩センターの一番の贅沢は「空の広さ」だと、住んで半年ほど経ってから気づきました。
高い建物が少ないので、朝の通学路から見える空が広い。都心のビルの谷間で暮らしてきた人には新鮮に映るはずです。
春は多摩中央公園の桜が見事です。芝生広場にレジャーシートを敷いて、友達と花見をしている学生の姿がそこかしこにある。神田川沿いの桜のように「通り」を歩く花見ではなく、「座って見上げる」花見ができるのが公園の広さの恩恵です。
夏は正直に言って暑い。ただ都心のアスファルト照り返しに比べると、緑が多い分だけ体感温度は低い。キャンパス内の並木道は木陰が連なっていて、直射日光から逃げられる場所が多い。
秋は紅葉がきれい。多摩丘陵の自然が残っている場所なので、キャンパス周辺の色づきは都心の公園とはスケールが違います。白門祭(大学祭)の時期と紅葉が重なる11月は、キャンパスが一番華やかな季節。
冬は寒い。多摩地域は都心より気温が2〜3度低いことが多く、朝の冷え込みがきつい。モノレール駅のホームは屋根があるものの壁がないため、風が吹き抜ける。手袋とマフラーは必須です。
先に知っておきたかったこと
家賃は都心に比べるとかなり安い。多摩センター駅徒歩10分圏内の1Kで5〜6万円台が見つかります。同じ条件で高田馬場だと7〜8万円なので、月に2万円前後の差がある。4年間で計算すると100万円近い差額。これは大きい。
自転車は「駅まで」に使うもの。多摩センター駅周辺は整備された道路が多く、自転車は走りやすい。ただし多摩丘陵の上に位置しているため、駅の南側は坂道がある。自転車を買うなら変速ギア付きにしておいた方がいい。
サンリオピューロランドは最初の半年で2回行くと飽きる。住んでいると「また今度でいいか」となり、結局あまり行かなくなります。ただ、地方から遊びに来た友達を案内するときには便利。「うちの最寄り駅、ピューロランドの駅だよ」は話のつかみになります。
パルテノン多摩は駅前の大きな複合文化施設で、ホールや展示施設があります。学割で入れるイベントや映画上映もあるので、暇な日にチェックしてみる価値はあります。
この街の正直な印象
多摩センターは「大学生活の4年間を過ごす街」として設計されていないけれど、住みやすさのバランスは悪くない。買い物に不自由しない、治安がいい、家賃が安い、空が広い。都心にはないこの4つが揃っている街は、東京の中でもそう多くありません。
足りないのは「夜の選択肢」と「都心への気軽さ」。この2つを重視する人には合わない。深夜まで遊びたい、渋谷や新宿に頻繁に出たい——そういう大学生活を想像している人は、都心寄りのエリアを選んだ方が後悔しません。
ただ、静かな環境で勉強に集中したい、家賃を抑えて他のことにお金を使いたい、自然の中でゆっくり過ごす時間がほしい——そういう大学生活を求めるなら、多摩センターはかなり良い選択肢です。
都心の喧騒が恋しくなったら、京王線に乗って35分で新宿に出ればいい。多摩センターに帰ってきたときの「空気が違う」感覚が、この街に住んでよかったと思える瞬間です。
参照元・注記
- 多摩中央公園・リニューアル情報: 多摩市公式プレスリリース・多摩中央公園公式サイト(2026年4月閲覧)
- カフェ情報: 各店舗の公式情報・Googleマップ掲載情報(2026年4月閲覧)
- 商業施設情報: ココリア多摩センター・京王多摩センターSC・イコット多摩センター・丘の上パティオ・マグレブEAST 各公式サイト(2026年4月時点)
- 交通アクセス・所要時間: 京王電鉄・小田急電鉄・多摩都市モノレール各社の路線情報(2026年4月時点)
- 中央大学多摩キャンパス情報: 中央大学公式サイト(2026年4月閲覧)
- 家賃相場: SUUMO掲載物件(2026年3月調査)をもとに編集部が整理
- 価格・営業時間は変動することがあります。訪問前に最新情報を確認してください
中央大学の総合ガイド
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